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空箱

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1.無題

からりと乾いた空気、肌をちりちりと焼く日差しの強さ。
露出した肌に篭る熱を涼しげな風が優しく撫でて行く懐かしい感覚。
人の生涯では考えられない程に久方ぶりに訪れたこの国の季候が、他国だというのに郷愁に似た物を呼び起こすのは長年、此処で過ごしたからだろうか。
いつでも遊びに来ぃや、なんて言われてからどれくらい経つのか、独立してすっかり身の丈も大きくなったロヴィーノにはわからなかった。酷く昔のことのようにも感じるし、ついこの前のことだったようにも思える。



あの家を出てから今まで訪れなかったのは決して会いたく無かったわけでは無い。
多忙、それだけを理由にするのは無理だとわかりつつも今まで訪れることが無かったのは言葉にするにはとても難しくもどかしい感情ばかりだ。漸く耐え切れぬ程に会いたいと、今まで取繕っていた上面の体面を捨て去ってただ会いたいのだと行動に移せた頃にはすっかり今まで散々かわいいと称された少年の面影が薄れ、縦にも横にも成長した男の体躯になっていて正直、不安ばかりが胸裏に渦巻く。
可愛い物に目が無い彼は幼子の柔らかな曲線を失った自分にはもはや興味が無いのでは無いか、そもそも身を削ってまで守ってくれていた彼を裏切り独立した自分なぞ目障りでは無いか、そもそも…
「いい加減覚悟決めろよな俺…」
辿り付いた一つの家の前。この地独特の白い肌に覆われた眩いばかりの壁を見上げて一つ息を吐き出す。服に覆われた肌までじんわりと汗ばんで居るのは決して 日差しの所為だけではないだろう。意を決して伸ばした指先はノックを叩こうとして、そうして躊躇った後にノブへと手を掛ける。それは予想に違わず静かに軋 んだ音を滲ませて開いた。
来訪を予め告げて訪れた訳では無いからきっと、これはただの不用心だろう。だが何故か少しだけ緊張に固まった心が解れた気がした。
日差しから守られた家の中は開け放たれた窓から入り込む涼しい風に満ちてすっかり熱を持った肌を沈静させてゆく。静まり返った空気は昔此処を出た時から何一つ変わっておらず、ただ少しだけ小さくなった。
早まる鼓動を抑え、足音を押し殺して彼を探す。今の時間なら丁度昼寝の頃だろうか、それとも国としての仕事をしている頃だろうか。はたして彼は寝室のベッ ドの上に居た。白いシーツの波に埋もれた濃い色の肌が呼吸に合わせて浅く上下している。こちらに背を向けている所為で顔まではわからないが随分と痩せたよ うな気がする。一歩、二歩、ベッドまでの僅かな距離に酷く時間を近付いて肌に触れる。昔には巨木のようだった身体が両腕に納まる大きさにまで小さくなって いて思わず力の限り背に抱きついた。
「ふぁ…あ……?何、なんなん…?」
流石に目を覚ましたのか男が間の抜けた声を上げるが構わない。過去の傷跡に引き連れた背に顔を埋めて離さない。そうでもしていないと訳も無く泣いてしまいそうだ。
「え、誰?何も言わんとわからん、……」
背に張り付く正体を知ろうともがいて居た男の動きが止まった。流れる無音の空間、馴染んだ体温の高い肌に込み上げる嗚咽を必死で噛み殺しながら様子を伺っていると不意に、引っ張られる。
「ちぎ…ッッ」
思わず出た声は最早本能に等しい物で堪えられなかった。思わず緩んだ腕の中で男がぐるりと向きを変える。
「やっぱりロヴィや。隠れてても可愛いコレが出とったで」
寝起きの気だるい吐息混じりに紡がれる声、未だに顔を上げられずに男の胸元に再び抱きついたロヴィーノの頭を優しく撫でる掌、拒絶する事を知らないように全てを引き寄せて受け入れる男に涙が止まらなかった。
「ほら、顔見せてぇや、こない大きゅうなって…さぞ男前になったんやろな?」
見なくても男が暖かな笑顔を向けていることが分かる声。顎へと手が滑り降りて来るのを必死で首を振って拒否した。涙でぐしゃぐしゃになった真っ赤な顔なぞ間違っても見られたくない。
「意地悪しないで見せたってやぁ」
男は笑いながらもそれ以上の強制はしない。ただ優しく抱き締めて背を撫でてくれる。それにまた涙が込み上げて男に縋りつく。そしてロヴィーノは心の中で叫ぶ。お前が好きだ、と。



少し経って落ち着いて来ると二人は漸く、お互いの顔を見た。男の顔は少し頬が削げ落ちたが不健康な印象は無く、むしろ大人の男臭さが増したようだ。対する ロヴィーノと言えば涙の痕でぐちゃぐちゃだったが男は嬉しそうに目を細めてこう言うのだ「えらい男前になったなぁ」と。あんまりにも手放しに誉める物だか らいつものような憎まれ口しか返せず、だけどそんな遣り取りも酷く久しぶりで心がふわふわと空を漂っているようだった。
「ああ、せや」
思い出した、と言わんばかりに顔を上げた男が改めてロヴィーノと向かい合う。そうして、その両腕で確りと肩を抱き締めた。


「お帰り、ロヴィ」

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生徒会室

昼休みを終えた午後の生徒会室は騒がしかった生徒達が皆教室の中に押し込められている為に酷く静かだ。そんな中で授業を受ける気のないアーサーは一人、重 厚な木製のデスクに向かい生徒会の事務作業に勤しむ。穏やかな午後の風が通り抜ける中で乾いた紙の上にペンを走らせる静かな風景だが時折、ぴちゃりと混ざ る卑猥な水音。入口から隠れるようにしてデスクの足元にうずくまるアントーニョがアーサーのペニスを舐めしゃぶる密かな息遣いが静寂に波紋を生み出す。す ぼめられた唇が緩慢な動きでもって口腔の浅い場所で幹を生温く擦り上げて付け根へと戻る機械的な反復作業を繰り返すだけのやる気の無さで、伝い落ちる唾液 とも先走りともつかない体液を舐め啜る時にだけ濡れた舌先が覗いた。
「おら、そんなんじゃ何時まで経ってもイけねーよ」
温く腰元に快感を蟠らせるばかりでそれ以上の事をしない怠惰な唇に焦れてアントーニョの剥き出しなばかりかすっかり熱を集めて固く勃ちあがった股間を革靴 の爪先で蹴り飛ばしてやればくぐもった悲鳴が足元に蟠った。書類をめくる手を止めて視線を落とすとかちりと深い色の碧眼と重なる。
「なんか文句あんのかよ」
睨むようなその視線を咎めるように体重を乗せて強く股間を踏み付ければングゥと押し潰された声を漏らして面白いようにびくびくとアントーニョの肩が跳ね る。アーサーの膝の上に乗せられた両の掌が固く拳を作り、ずるりと咥内から中途半端に頭を擡げたペニスが抜け落ちた。なんとか逃げようと後ろ退ったところ で狭いデスクの中では逃げ場など無い。
「誰が止めて言いっつったよ。」
奥に逃げようとする前髪を引っつかんで強引に引き寄せれば指に絡み付く短い巻き毛が数本抜ける感触。ぐ、と呻きながらも眉根を寄せて耐えるアントーニョにアーサーの体温が上がった。
「ずっとそうしていたいんなら別に俺は構わねーけど」
そうして髪を離してやれば、くそ、と小さく毒吐く声の後に再び先端に触れる柔らかな唇。さも不本意と言わんばかりの険呑な眼差しでアーサーを射ながらもふ とした瞬間に漏れる吐息は甘く熱を含んで震えた。再開された愛撫に身を任せながらふと、アーサーは思い出したようにデスクの上に無造作に置かれたリモコン に指先を伸ばす。今はオフにあるスイッチを気まぐれに動かしてやれば足元でびくんとアントーニョの身体が跳ねた。
「ゃっ…ぁああっ、ぁっあっ」
微かに聞こえるモーター音がぐずぐずに蕩けきった粘膜を揺さ振り痺れるような快感を生み出しているのだろう、強張らせた肩を不規則に揺らしながら喘ぐ声が 涙に掠れた。総てを吐き出したくても先走りをだらだらと垂れ流して震えるアントーニョのペニスの根本は固く紐で縛りつけられてもう既に大分時間が経ってい る。その上、後孔を穿つ玩具が萎える事を許さずにアーサーの指先一つで振動する為に休む間もない。為す術無くただ拷問のように身体中を支配する快感に身を 委ねるしかないアントーニョの姿にアーサーの唇が歪んだ弧を描く。顔を合わせれば喧嘩するだけしかなかった相手が、アーサーの指先一つに翻弄され喘ぐしか ない優越感。制服の上はきっちりと着込んだまま下肢だけを露にしてはしたなく勃起したペニスを震わせる淫らな姿は心に潜む支配欲を擽る。
「ったく、しゃーねぇなぁ」
優しさを装ったアーサーの声は思いのほか甘く響いた。アントーニョを苛む玩具のスイッチを切ってやれば目に見えてほっとしたように身体から力を抜き落として膝の上に伏した頭をそっと撫でる。
「紐、外してやるから自分でヌけよ。今のお前じゃ使いモンになんねー」
「…っ…、っざけんなボケこんなんにしたんは誰やねん」
荒い呼吸に肩を上下させながら吐き捨てられた声は地を這うように低い。睨み上げる深い緑色の眼から溢れた涙が頬を静かに伝い落ちる。
「だから楽にさせてやるって言ってんだろ。別に嫌ならいいぜ、他の奴呼ぶから」
その言葉の意味を正確に理解したアントーニョの唇が開き、何事かを紡ごうとしては結局声になる前に噛み締められる。また一滴涙が頬を伝い、瞼がぎゅっと耐えるように伏せられた。やがて怖ず怖ずと伸ばされた手が下肢へと辿り着く前に内股の柔らかな肉を爪先で小突く。
「そこじゃ見えねーだろ、此処に来い」
こん、と軽くデスクの表面を指の間接でノックしてやれば絶望の色で見開かれた瞳がアーサーを見上げ、そして諦めたようにゆっくりと伏せられた。逆らえば他 の、アントーニョの大切な彼がアーサーの手に掛かるかもしれない事を理解しきった身体は心の反発を唇を噛み締める事でやり過ごし、アーサーの意のままに従 うしかない。捨てきれぬプライドが悲鳴を上げていても、涙を飲んでただ静かに耐える姿はアーサーの心に言いようの無い喜びを齎す。デスクの下から抜け出せ るだけのスペースを開けたアーサーの膝に熱く湿った掌を置き重い腰を浮かせる動作は酷く鈍い。今は振動していないとは言え確かな存在感を主張する玩具が少 しの動きでも中を擦り熱を生み出すのだろう、くぅ、と甘えるような鳴き声が食いしばった歯の間から漏れ聞こえる。随分と時間をかけてデスクの上へと漸く腰 を乗せたアントーニョの両足も押し上げてしまえば縛られて色を変えて震えるペニスも、入り切らない玩具をくわえこんだ後孔もアーサーの眼前に晒される。玩 具は傘の広い先端から中太りの幹までが赤く色付いた入口の皴をみっちりと押し広げて粘膜に埋まり、スイッチがある根本の部分だけが突き出ているために真っ 直ぐに座ることを許さず、腰を突き出すように後ろ手で体重を支える姿はまるで金のために男を誘う娼婦のようだ。アーサーを見ようともせずに俯く顔だけが唯 一残された反抗なのだろう。汗に濡れた肌が午後の優しい陽射しをぬらりと跳ね返して荒い呼吸にか、それとも体内で駆け巡る快感にか腹から内股までの筋肉が 小刻みに震える様はこの上なくアーサーの目を楽しませた。恥じ入るように擦り合わされた膝頭を割開くと突き出た玩具が静かに上下してそれに合わせたように すっかりと濡れそぼったペニスが震える。
「ほら、とっとと済ましちまえよ。…早くしねぇと飽きるぞ」
その姿勢のまま動く気配の無いアントーニョを急かすように突き出た玩具を押し込みがてらスイッチを入れてやれば面白い程に身体が跳ねて背が綺麗な弧を描く。
「ぁっ…ぁあああああ――っっっ」
悲鳴とも咆哮とも着かぬ声を上げがくがくと痙攣するアントーニョにアーサーの手が思わず止まる。
「あぁっ、あっ…嫌、やぁっっ…気持ちぇえっっ」
くずおれた背をデスクの上でびくびくと跳ねさせながら喘ぐアントーニョの双眸はすっかりと焦点を失い襲い来る快感に歪んでいる。抜け落ちそうになる玩具を再び奥へと押し込んでやれば糸の縺れたマリオネットのように弓なりにしなる身体。
「っひぁあああっ…んぁっも、ぁかんっ止まらへんっ、助け、…っ」
「はっ、ケツで空イきしてんのかよ。どうしようもねぇ淫乱だな」
嘲笑うアーサーの声すらも聞こえない様子で快感に呑まれて行くアントーニョの姿に堪えようの無い笑みが浮かぶ。普段太陽の下で健全な青少年を気取るそれと は違う剥き出しの欲望に身体全体が熱く燃え上がった。知らず手がアントーニョを犯す玩具を強引に引き抜き縋り付いた粘膜が戻らぬ内にたぎったペニスを押し 込む。もはや言葉にすらならない声を上げて玩具とは違う熱さにうち震える粘膜を揺さぶり。一度、絡み付く粘膜の心地良さを知ってしまったら後はもう止まれ ない。どちらかの精魂尽き果てるまで貪り尽くすだけだった。

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衝動

熱を帯びた指先がそっと汗で張り付いた前髪を救って横へと流して行く。火照った身体にもじんと染みるようなその熱い指先はそのまま額から頬のラインを辿り 顎の下へと辿り付く。そうして掬い上げた唇に重なる少し干からびた唇。それはアントーニョも変わらない事で、合わさった唇が引っ掛かってもどかしい。息継 ぎのように僅かに離れた瞬間に唇を舐めると僅かに鉄の味が滲んだ。
「…っは、……ふ…」
再び重なる唇から漏れるのはもはやどちらのものかも区別がつかない。脳髄まで侵食するような熱に侵されて求めるままに重ねた唇は決して技巧的には巧いとい えたものでは無いが、勢いがそれを上回った。全てを貪ろうとする唇が、余す事無く荒らす舌先が抗いようの無い熱を身体の奥底に植え付けて行く。時折、急い て歯がかち合う振動にすら鼓動が跳ねた。
「アン、…は…ッアン…ッ」
滅多に呼ばれぬ略称、切羽詰ったように呼ばれるたびに揺すられる下肢から互いの体液が混ざり合ってぐちゃりと粘着質な音を立てる。幾度果てたかも分からない程に濡れた下肢は未だ繋がったまま、それでも尚、新たな火種に簡単に燃え上がろうとする。
「ギル…も、あかんて…擦り切れる…ッ」
引き摺られそうになるのを堪えるように身を捩っても確りとギルベルトに掴まれた腰は揺さぶられる度に立てる水音と共に次第に抵抗を失って行く。何度目にな るのか判らない絶頂を目指して快感を求め始める。ぐずぐずに蕩けきった体の内側を無茶苦茶に突き上げて掻き混ぜて犯して欲しい衝動に支配されてしまう。普 段あまり見る事の叶わない真っ直ぐに向けられた瞳に宿る淫靡な煌めきに抗う事が出来無くなる。
「…ッギル、…――ッひぁあっっっ」
なおも咎める声を厭うように不意な突き上げ。最初はまさか快感を覚えるようになるとは到底思えなかったギルベルトが回数をこなすうちにすっかりと知り尽く した場所を正確に、幾度も抉るように突き上げる。そうなると最早アントーニョに抵抗の手立ては無いに等しかった。快感に眩む瞳をぎゅっと堅く閉じて与えら れる刺激をただ喜んで受け入れるだけだ。
「っゃ、ああっ、あっ、そこ…ッ気持ちえぇ…ッんっ」
肉がぶつかり合う乾いた音を立てながら幾度も幾度も腰を打ち付けられる度に上がる声は僅かに掠れていた。覆い被さるギルベルトの首裏へと腕を回してしがみ 付きながら強請るように腰をくねらせ突き抜ける快感に身悶えるアントーニョに対してギルベルトはただ、無言だった。荒い呼吸を吐き出しながらも真っ直ぐに アントーニョを見据えたまま緩く、激しく穿ってゆく。昂ぶった肌から染み出した汗が一滴、顎を伝ってアントーニョの頬へと落ちた。
「ギルっ…ッもっ…と…ッもっと激しくしたって…ッぁ」
仮初にも見せていた拒絶を一切取り払い欲望のままに声を上げるアントーニョの望むままに次第に早くなる律動。舌を縺れさせもはや言葉にならぬ嬌声を上げるだけのアントーニョがギルベルトと時を同じくして果てるのはそう遠く無かった。





「で、行き成りこないなとこで盛って押し倒して来たからにはちゃんとした理由があるんやろなぁ…?」
指一本、動かす事すら面倒なくらいに疲労感に満ちた身体を投げ出してぼんやりとアントーニョが問う。大の字になって見上げた空はそろそろ日差しの翳りを見 せ初めている。通り過ぎる風が少し冷たい。ずっと地面に擦られていた背が痛みを訴えているが動く気力が沸かない。そもそも、動いたら散々中に放たれた物が 溢れ出て来そうで余計に疲れそうだ。しかしギルベルトはただ同じように大の字に寝転がったままぼんやりと空を眺めているばかりで言葉を発する気配が無い。
「おい、聞いてんのか、ボケ」
10kgの鉄アレイを持ち上げるような労力を使って漸く振り上げた拳で肩を殴れば漸く二人の視線がかち合う。だが其処には普段の傲慢な態度も卑屈な色も見えなかった。眉根をきゅっと寄せて真っ直ぐに見詰めるギルベルトの視線に不覚にもアントーニョの鼓動が跳ねる。
「………よく、わかんねぇ…」
「さよか…てそれで済むと思っとるんかあほう」
漸く出た言葉は困りましたと言わんばかりの弱った声で思わずアントーニョの突っ込みも甘くなる。はぁ、とまだ何処か甘さの残る溜息が零れ落ちた。
「でもお前、混ざるか?って、聞いたじゃねぇか。」
ぽつりと。風に紛れそうな声の呟き。それは、もしかしなくともついこの間にギルベルトが寝てる横でフランシスと二人でうっかり事に及んでしまった時のこと だろうか。消去される一歩手前の記憶を無理矢理引き摺り戻して記憶を辿る。確か、あの時はそのままなんやかんやと反応の面白いギルベルトをフランシスと二 人でからかい倒してそのまま解散になった気がする。無論、其の後には艶めいた事なぞ一切無く、簡単に身支度を整えてしまえばいつもの三人だった。混ざるか と聞いたのだって、ただからかうだけのような物であったし、まさかそんなに引き摺られるとは思って無かったのだ、アントーニョもフランシスも。
「せやからって……突然強姦紛いに襲いかからんでもええやん…」
「お前だって途中からノリノリだったじゃねぇか。」
「そりゃぁ、なぁ、気持ち良ぅなってもーたし」
つまりは、どっちもどっちなのだろうか。思い付きなのか突発的に他人を襲うギルベルトも、気持ち良ければそれを許すアントーニョも。ぼんやりと再び空を眺めるギルベルトの横顔は静かで思考が読めない。
「あー……もう、とりあえずそれはええわ。とにかく、この後どうやって帰ればええねん俺…」
あまりぐだぐだと考えるのは性に合わない。すっぱりと思考する事を放棄すると改めてあまり見たく無い現実へと目を向ける。膝下まで摺り下ろされたズボンは まだいいとしても脱ぐことの無かったシャツやネクタイには明らかにそれと判る白濁が飛び散り、ぐしゃぐしゃに皺になっている。背中は自分で見え無いがきっ と床に擦られて真っ黒になっているのだろう。
「…後でジャージ持って来てやるよ。それで帰るしかねーだろ…あ。」
ギルベルトの方が少しマシとはいえ、そのまま帰るにはいかない格好なのには違いない。一応の責任は感じているのかそう告げる途中で不意に思いついたように身を起こしたギルベルトにアントーニョは首を傾げた。
「なん・・・?」
近付くギルベルトの何処かにやけた口元に不信感を抱かずには居られ無い。だがすっかり疲弊しきった身体は咄嗟に動けずに伸ばされた腕にされるがままにうつ伏せにされてしまった。
「っちょ、ギル、なんなん…?!」
逃げようと両肘をついて身を持ち上げようとするのと同時に抱えられる腰。所謂四つん這いの姿勢にされた途端に散々酷使した其処からどろりと溢れ出す何か。
「っひ、…ッ」
重みのある液体が孔の縁から皮膚の薄い部分を伝って太腿へとじっとりと流れ落ちて行く感触にぞわりと肌が粟立ち先ほどまでの快感を呼び起こしそうになる。その一瞬、強張った隙に指が二本、蕾へと差し込まれた。
「あっ、あ、ゃめぇ、や…ッ」
「すげぇ、どろっどろ…」
すっかり綻んで口を閉じきれない其処に差し込まれた指がまだ熱の引かない肉壁を探るようになぞり、きゅうと絡みつく粘膜を引っ掻いて引いて行く。漸く鎮火 しつつあった熱を煽るようにゆっくりと、だが確実に知ったばかりの弱い場所ばかりを擽る指先に思わずアントーニョ身体から力が抜け落ちる。掻き出される白 濁が膝まで伝い落ちる感触すらもどこかもどかしくて無意識に腰が揺らめいた。もうこれ以上は無理だと思っていた身体が先を欲し始めるのに床に額を擦りつけ るようにして喉を鳴らした。
「ギル、……」
熱っぽさを取り戻した声がギルベルトを呼ぶ。振り返る翡翠の瞳が揺らめいて誘う。困惑したように、だが明らかな先を期待した仕草に唾液を嚥下する音を響かせるとギルベルトは再び彼の背中の上へと覆い被さった。

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その他

□→そんなにやらしくない
■→そこそこやらしい

【幻水】
ビクフリ
「傭兵砦の夜」いちゃいちゃしてる

【hpmi】
左銃
「組み敷くことに快感を覚える話」仲良く喧嘩せっくす


【APH】
英西
「生徒会室」学パロ
「鎖」モブ西の英西
「幻想の恋」英西っぽい
「犬」英が飼ってる犬の話※ほんのり大スカ表現
「marry me?」上司命令で英西結婚する話
「破壊衝動」渾身のイチャラブ(当社比)

ロマ西連作
 1.無題
 2.ラブドランカー
 3.友情≠愛情(仏西)
 4.アイラブユー

その他
 ローマじいちゃん×幼女西
 ロマ西ほのぼの刃物の話
 にょた悪友の女子更衣室トーク
 伊とハプスが逆だったら
 触手×西
「血に飢える」ハプス夫婦の血生臭い話
「二人と一人の境界線 」悪友(仏西+普)
「衝動」上の続きの普西


【銀魂】
銀土
「無限ループ」3Zの銀土
「発情期」そのまま
「いつもの」日常
「優しい指先」たまに駄目になる多串くん
「非番」いちゃらぶ


【黒バス】
木日
「ただいまのちゅー」同棲している二人の朝
「休日(夜明け前)」アラサー木日
「休日(ラブホデート)」アラサー木日
 木日のおふぇらの話
 lamentoパロ木日

火日
「二人が従弟の話」
 1 2 3 4 火日が従弟の話。モブが出張る。全然くっつかない

今吉受
「触れる」トラウマ持ちで人に触れるのが怖い今吉さんと諏佐
「監督と主将」ただれた関係の原今
「和服パロ青今」元陰間の今吉さんとゴロツキ青峰

その他
 誠凛がモンハン世界に居たら
 木日、火日、青今、諏佐今、紫氷のおせっくす事情妄想
 ゼノサキャラが誠凛に転生してたら妄想(日、火、リコ、黒、氷)
【9696動画】モンハン実況動画風(諏、今、宮、笠)
 くろちゃんねる風、くっつかなかった黄森黄の想い出語り
 ショタ化した桐皇三年


【H×H】
 ヒソイル小話


【ゼノサ】
 URTVそれぞれのポエム

【K】
尊礼
「終わる為の回想」アニメ一期しか見てない時期に書いた過去捏造


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血に飢える

生臭い赤色に染まった戦場を埋め尽くす悲鳴、怒号、金属が噛みあう音。その中でも一際赤に身を染めた男が奮うハルバートにまた一人、ノイズを生み出して地に伏した。ローデリヒは一人、後衛に守られた高台からその姿を見つけて溜息を零した。
「貴方は本来私の隣に居なくてはならないはずなのですがね…」
ひっそりと零れ落ちた言葉は眼下で広がる争いのメロディーに紛れて消えた。今更言っても仕方の無い事と分かっていても愚痴らずには居られ無い。国としてす べき事とは決して自ら先陣を切り敵を切り伏せる事では無い筈だ。身体に数多の傷を負いながらも人とは違う身体は倒れることを知らず、痛まぬわけでもないだ ろうにその身を深紅に染めながらただ無機質に向かい来る敵を薙ぎ倒して行く姿は心強さよりも不安を掻き立てる。普段が陽気で暢気な男だからこそ、余計に。



「二人揃って後ろ居るより共に刃持って戦場に居る方が士気も上がるやん?」
だから、とまるですぐ近くの畑にトマトを採りに行くような気楽さで言われてローデリヒも最初は強く反対した。
「何言ってるんですかおばかさん。士気云々の話じゃありませんよ、我々が倒れてしまえばそこで負けてしまうんです。兵士だけに戦わせて自分だけ守られて居るのが不満なのでしょうけれど其処は我慢なさい」
「ちゃうねん、そういうんもあるんやけど、それだけとちゃうんよ」
暖かな草色の瞳が笑みの形に歪んで、そうして強く抱き締められた。ほんの少しだけローデリヒよりも丈の低い、だが戦う為の確かな体躯が力強く体温を染み込ませる。懐くように首元へと伏せられた表情はそれ以上見えなかった。
「俺が戦って、皆と自分、守るから。俺そう簡単に死なへんし。お願いやから、」
戦わせて。常と変わらぬ明るい声だがそれは頼むでも強請るでも無い懇願。内面を全く曝け出さない男の本心は全く掴めなかったけれどまるで幼子がしがみ着くような震える指先がローデリヒから言葉を奪った。
「俺に、行かせてや。俺から奪わんといて。俺は死にに行くんとちゃう、生きに行くねん、生きる為に行かなあかんねん、なぁ」
少しだけ霞んだ語尾。背中でベルベットが皺を作る感触。ローデリヒはそっと包み込むように癖のある黒髪へと指を滑らせた。そして隠された唇の変わりに髪に顔を埋めるようにして口付けを落とす。
「…わかりました、貴方にも戦場に立って頂きます。けれど約束してください、無茶はしないと。」



目の前に広がる広大な大地を埋め尽くす人の列。ゆっくりとそれが動き出したのを切欠にアントーニョ達も動き出す。上がる怒号、徐々に勢いを増して駆け出す 軍同士がぶつかり合えば一気に其処は阿鼻叫喚と化した。其処彼処で耳障りな金属音と悲鳴が頭を埋め尽くして行く、その不思議な高揚感。一際クリアになった 視界に浮ついたように軽い身体が欲していた。血を、悲鳴を、死を。
目の前へと踊り出た敵の身体へと振り下ろしたハルバートが肉を裂き骨を砕く感触が指先から身体の芯にまで痺れるように伝わる、その鳥肌立つ快感。背後で刃 を振り被る敵兵を振り向き様にハルバートを真横に滑らせれば柔らかな腹を二つに割って赤く濡れた臓腑を露にする。濃厚な血の香りが麻薬のように神経を痺れ させた。隙を突いて腹へと突き刺さる槍をそのまま握り締めて引き寄せ、胸の中心を突き差してやれば脆い人の身体は呆気なく崩れ落ち土埃舞う戦場に赤い絨毯 を敷いて行く。槍を引き抜けば自分もまた、赤く色付いた。
「死にたい奴から掛かって来ぃや!!気持ち良く天国行かしたるわ!!」



気付けばすっかり混戦状態となった戦場はただ赤かった。敵も味方も、本能の赴くままに刃を振るい生死を交わすだけの風景だ。何時の間にか先陣を切っていた アントーニョの姿も見失いローデリヒはまた重く溜息を吐き出す。戦況は悪く無い。むしろ良好といっても差し支えないだろう。数で劣っていた自軍の勢いに敵 は飲まれ始めて見えて居た勝利が確実な物となりつつある。時折報告に来る斥候にも現状維持を告げるだけで気に掛かる事といえば見失ったアントーニョの事だ けだ。敵と味方が入り乱れ団子状に固まったその中心に居る筈の彼の所までは流石に斥候でも入り込めないのだろう、生きているのかすら、掴め無い。胸の奥底 でずっと疼く痛みがより強くなり始めて居る。何も手出しが出来無いもどかしさに顔が険しくなるのを自覚する。待っているというのが此れ程苦痛と感じるのは 初めてのことだった。自分で刃を振るわなくなった当初は焦燥感や存在意義の有無に悩まされた物だがそれとはまた違う痛み。名も知らぬ大勢の兵士たちを心配 するのとは違う、たった一人へと向ける強すぎる想い。
「どうか、どうかご無事でいてください…」



もう何人殺したか分からない。もう何度、死ぬかと思ったか分からない。滴る程に塗れた血が自分の物なのか殺した相手の物なのかすら判別出来無い。分かるの は動く度に全身に走る痛みとそれを凌駕する程の興奮。まだ死なない。まだ死ぬ気がしない。考える暇も無く勝手に動く手足が止まるなんて事が思いつかない。 気付くより先に背後の敵兵を薙ぎ払い向かい来る身体を二つに割り横合いにあった頭を跳ね飛ばす。肉の絨毯を踏み越えてハルバートで足を引っ掛けて転ばせた 首を思い切り踏み砕き目の前の心臓を刺し貫き其処にあった脳天をかち割り肉を裂いて臓腑をぶちまけて四肢を切り離して骨を砕き人を殺して、殺して、殺し て、傍の人の首を横一直線に薙ごうとしたらまだ血に濡れていない刃に阻まれてたので一度引いたハルバートで再びその首を貫こうと、
「いい加減になさい!!貴方は私をも殺すおつもりですか!!!」



一直線に首を狙うハルバートを辛うじて交しながらなりふり構わずにローデリヒはアントーニョへと身体ごと突っ込んだ。刃を手にしたまま二人赤い地面へと倒 れ伏して漸く、翡翠の瞳がローデリヒのアメジストと重なる。肩で呼吸を繰り返しながら今始めて目が見えるようになったかの如く周囲を彷徨い、そうしてロー デリヒへと戻る翡翠。
「……ローデ、リヒ…?」
「そうです、私です。やっと目が醒めましたか?」
「今…俺……敵は……?」
「もう退却しています。私達は勝ちました。もう戦わなくていいのです」
「そか…もう、終わったんか…良かっ……た」
へらりと。力の抜けきった笑みを浮かべてアントーニョの意識は暗転した。



勝利に酔い痴れる兵を引き連れ宿営地へと戻る合間に何度声を掛けてもアントーニョが目を覚ますことは無かった。脈も呼吸もあるが怪我が随分と多い。人なら ざらぬ身であるからこそ生きて居るモノの、これがただの人間だったらと思うとたまらない想いに駆られてローデリヒははっきりと後悔した。やはりアントー ニョを戦場に出してはいけなかった。例え本人が何らかの強い想いがあって刃を手にするのであってもこんな事になるのならば承諾なんてしなかった。
敵の退却の知らせを受けて自軍へも退却を命じた後に駆け込んで来た斥候が知らせたアントーニョの無事に喜んだのも束の間、退却の命も聞かず一人で敵を追い 続けているとの知らせを受けて居ても経っても居られずにアントーニョの元へと駆けつけたローデリヒが見た物は想像の範疇を越えた光景だった。髪から爪先ま で血に彩られたアントーニョの口元には張り付いたような笑みが浮かび、だがその瞳は虚ろに濁っていた。逃げようとする敵兵も、止めようとする味方も区別無 くハルバートが振り下ろされ呆気なく命が散らされて行く。もう何人もその餌食になったのだろう、もはや近づける人間はおらず遠巻きに困惑を片手に抱えて眺 めるばかりで、だがそんな彼らにもアントーニョは刃を振り下ろそうとする。敵味方関係なく逃げ惑う兵士達を追い言葉無く命を奪うその姿はローデリヒに言葉 にならない程の衝撃を与えた。こんなアントーニョは見たく無かった。
気付けば勝手に身体が動いていた。近付いたローデリヒを捕らえた虚ろな翡翠に背筋が凍る。畏怖、恐怖、そんな物よりも強烈な嫌悪に鳥肌が立つ。迷うことな く空気を切り裂いて近付く刃を辛うじて引き抜いた長剣で受け止める。痺れるような衝撃と共にぎぃん、と硬質な音が響いた。なおも追いかけてくる刃に咄嗟に その身体を押し倒した。命懸けの賭けだった。



怪我の治療を終え、すっかり血も拭い落とされたアントーニョの寝顔は少しばかりやつれては居るもののいつもと変わらぬ幼さが滲む暢気な物だった。その安ら かな寝顔に嫌悪感はもう、無い。腹の奥を無造作に掻き混ぜられるような不快な名残を打ち消すように柔らかな頬を撫でると怪我の所為で熱が出ているのか少し 熱かった。天幕の外では兵士達が勝利に酔い痴れて酒盛りを始めているのだろう賑やかな声が遠く聞こえる。常ならば真っ先にその酒盛りの輪の中心に居そうな 男が今はただ静かに寝ている違和感にローデリヒの心が揺れる。
アントーニョが目覚めた時、其処に居るのは果たして今までと同じアントーニョなのだろうか。この戦がアントーニョを変えたのか、それとも元からだったのか は判らない。どちらにしても自分はこの男を今までと同じように見れるのだろうか。婚姻関係という言葉だけでは無い何かが生まれ初めて居た筈の心は同じ気持 ちのままで居られるのだろうか。落とした溜息は誰にも聞きとめられる事無くひっそりと空気を揺らした。

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