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空箱

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チェカレオ

「レオナ」
ベッドの上に乗りあがり、こちらに向けられたシーツ越しの背中をぎゅうと腕の中に閉じ込めて愛しいその名前をそっと耳元に落とす。ぴくりと耳先が震えるが、反応はない。
「レオナ」
もう一度呼んで、薄くひんやりとした耳朶を唇に挟み込み、産毛をたっぷりの唾液で湿らせてじゅうと強く吸い上げると容赦のない肘がチェカの腹にめり込んだ。
「っっぅぐ、……痛いよ、レオナ」
頑なにこちらを向かない癖に、逃げる事も無い。これがレオナなりの譲歩なのだと思うことにして腹に回した掌でしっとりと滑らかな肌を辿る。右手はくっきりと深い溝を作る腹筋の筋を辿り更にその下の叢へと、左手は柔らかくしなやかな筋肉を纏う胸元へと。その先端で可愛らしくつんと主張している場所を爪先でカリカリと引っ掻いてやればぴくんと抱き締めた身体が跳ね、手首に思い切り爪を立てて引っかかれる。
「っっ痛い、ってば。ねえ、遅くなってごめん。怒ってるならせめて言葉で言ってよ」
仕返しとばかりに硬くなってきた胸の先をぎゅっと摘まんでやればんんぅと押し殺した声が聞こえた。おねだりしても背を向けたままのレオナは、より一層身を丸めて頑なにチェカを見ようとはしない。洗い立てのふわふわの髪はこんなにも良い香りをさせているのに、触れる肌は期待にしっとりと熱を孕んでいるのに、恥ずかしがり屋のレオナはいつだってそれを認めようとしない。あくまでチェカが求めるから、既にレオナよりも一回りも二回りも大きくなり王となったチェカには逆らえないから従っているのだというスタンスを崩さない。
「ね、お願いレオナ。こっちを見てよ。お詫びにいっぱい気持ちよくしてあげるから」
項にじわりと滲む汗を舐め取り口付けを落としながら小さな尻に期待で盛り上がった股間を押し付ける。毎度ながらこんなに薄くて小さな尻にチェカの物がすっぽりと飲み込まれるのが信じられない。よく「せめて半分にそぎ落として来い」なんてレオナは憎まれ口を叩くけれど、レオナが「化け物」と呼ぶこれで中をぎちぎちに満たされるのが好きな事はわかってる。逃げられないように細い腰を押さえ付けて思うままに容赦なく奥まで何度も突き上げてやる時の事を思い出してチェカもぞくりと肌が泡立つ。早く、中に埋まりたいのに今日のレオナは頑固にチェカに背を向けたまま動かない。
「ねえレオナ、どうして欲しい?」
聞いても絶対に答えてくれないのはわかっている。けれどレオナだって期待でじっとりとした熱を孕んでいるのがわかる。その気になっているのに素直になれないだけなのだ。
「今日は時間いっぱいあるから、たくさんえっち出来るよ。嬉しい?」
首の付け根の、ぽこりと浮いた骨を丁寧にしゃぶってちゅうと痕が残るくらいに吸い付くともぞりと腕の中でレオナが身じろぐ。こちらは向いてくれない、けれど先程までの緊張に強張った身体がとろりと熱に蕩け始めている、気がする。
「いっぱい舐めて、触って、しゃぶってあげる。中まで全部。………あれ?」
背骨の一つ一つをたどるように丁寧に舌を這わせながら、足の間、その更に奥へと伸ばした指先に触れた違和感。いつもならば慎まやかに硬く口を閉じている筈の場所がぬめりを帯び、つるりとした無機物の感触が埋まっている。チェカの記憶が確かならば、今触れている物はずいぶん前に戯れにレオナにプレゼントした男性器を模した玩具だ。チェカのものよりはずいぶんと小さいが、レオナと同じサイズくらいはあるもの。こんなもの要るかとすぐに投げ捨てられても、まあそんな反応だろうと予測していたので特に気にすることなく今の今まで忘れられていたそれが、今、レオナの中に入っている。殆ど根本まで飲み込まれて触れられるのは少しだけ浮いたストッパーの部分だけだ。昂る気持ちが抑えきれずについ、ぐ、っと強く押し込むと腕の中で面白いくらいにレオナの身体が震える。
「~~っっぁ、ぐ、……ッっぅぅ……」
ぎゅうと枕に顔を押し付け奥歯で噛み殺した声。どうせ、最後はあられもない声を上げて鳴くのだから我慢しなくても良いのに、と思うがこれがレオナの可愛い所でもある。それにしても、あの、レオナが。チェカの居ない間に、こんな玩具で。
「一人で、シてたの?」
「~~ぉ、っまえが!!!来ない……か、……ら……」
払いのけるように手を叩かれ、勢いよく叫んだ声が、すぐにまた萎んで消える。涙声で、そんな事を言われたらたまらなかった。結局こういうのは惚れた方が負けなのだ。もっと、大人っぽくレオナをリードしてやりたいのに込み上げる欲に抗えない。
「ごめん、本当にごめん。嫌いにならないでレオナ」
抱き締めていた身体を一度離し、改めて上から覆い被さる。薄明りの中でも真っ赤になって涙に濡れたレオナに睨まれるが綺麗だという感想しか抱けない。溢れる涙を丁寧に舐め取り、八つ当たりのように肩を腕を殴る両手を捉えてシーツに縫い留める。かつてチェカが散々登っていた大きな叔父は、今ではすっぽりとチェカの影に収まってしまう。そのことがとてつもなく嬉しい。素直に言う事を聞いてくれるような人では無いが、こうして不器用ながらも少しずつ想いを返してくれるのが愛しい。
「お待たせ、レオナ。たくさん、愛してあげるからね」
期待に濡れた目をしながらまだ往生際悪く藻掻く身体を体重掛けて抑えつけ、唇を塞ぐ。夜はまだまだこれからだ。

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