熱く、張りつめた物の先端を、そっと差し出した舌の腹に乗せる。つるりとした表面の感触を堪能するように舌先を滑らせれば濡れた吐息が頭上で聞こえた。見上げればぐるると喉を鳴らし飢えを滲ませた双眸と視線がかち合い、ジャミルの優越感を煽る。急かすように舌の腹に先端が擦り付けられるのをそのまま大きく唇を開いて迎え入れる。ずっしりとした熱い塊が舌の上を擦り口いっぱいに押し込まれると腹の奥がじくじくと疼いた。この大きな熱で早くぐちゃぐちゃになるまで掻き混ぜられたい欲を、息を吐く事で逃す。歪になった喉が、んんふ、と音を立てた。
ゆっくり、ゆっくり、喉奥まで咥え込んで、一息。喉を開いて確かめるようにゆるゆると前後に頭を動かしてから根本深くまで飲み込むと鼻先に触れる叢から濃厚な雄の匂いがしてくらくらする。じゅわりと粘度の高い唾液が溢れ出て口の中がいっぱいになってしまう。
一度、頭を引くと名残惜し気に透明な唾液の糸が伝ってはぽたりと跪くジャミルの足に垂れて冷たかった。足りなくなった酸素を補うように大きく呼吸をしてから、顔を上げ、舌を差し出してぱかりと口を開けてやれば待ちかねたレオナの熱い掌にがっしりと両手で頭を掴まれ期待に胸が高鳴った。再び舌の上に乗せられた熱が焦らすように表面を擦られて、ふぁ、と間の抜けた声が上がってしまう。
「――……っは、」
頭上に落ちる声が低く、甘い。口の中の浅い所でゆるゆると舌を口蓋を擦られて気持ち良い。もっと、と強請るようにレオナの足に縋りつくと、心得たようにゆっくりと大きな熱が喉の奥までごりごりと張ったエラに擦られて息が詰まる。咳込まないように開いた喉では上手く呼吸が出来ずにじわじわと酸素を奪われて行く感覚。
「んっ、ンん、ん……」
「……っふは、」
笑う音に視線を上げればいつの間にか視界はぼやけていた。瞬きをすれば溢れた涙が滲み、思いの外優しい親指が拭う。その心地良さに瞼を伏せ、どろどろした唾液の海の中でゆるゆると熱に口内を犯される快感に浸る。思考が霞みただ熱くて気持ち良い。
何度か口内を往復した後に、ぐ、っと強く後頭部を握られて背筋が伸びる。頭をしっかりと固定し、道具のようにジャミルの口を使おうとする気配に否応にも昂る。この男がジャミルで我を忘れる瞬間が、嫌いでは無い。舌の上で震える熱は今にも弾けそうな程に張りつめていた。
「んっ、ぐぉ、……ぉご、っお、」
「……ッはあ、……っは、……ぁ」
力強い掌に押さえつけられて逃れられないのに、喉の奥深い場所まで突き入れられて苦しい。咽そうになるのを必死に押さえつけてぐぽぬぽと重みのある水音が脳にまで響く。息継ぎする余裕無く幾度も喉奥を突き上げられて辛いのに身体の奥から染み出すような熱で飛びそうな程に気持ち良い。荒い呼気と共に余裕なくジャミルの口を使うレオナに恍惚とした気持ちでただ歯を立てぬようにと必死で吸い付きその時を待つ。
「――……ッッ、」
奥歯を噛み締めた唸り声をぼんやりとした思考の中で聞いた、と同時に舌の上にどくどくと吐きだされる温かなもの。刷り込むようにゆるゆると舌の腹を擦りながら幾度も吐きだされるそれを飲み込まぬようにしながら、最後の一滴まで搾り取るようにじゅるじゅると纏う唾液ごと啜り上げてやってからようやく解放され、大きく呼吸を吐く。独特の生臭さがいっぱいに広がりすっかり昂った身体が疼いた。
舌でたっぷりと唾液と絡めてから口を開けて溜め込んだ物を見せれば肩で息をしながらも喉奥で笑ったレオナが優しく髪を撫でる。普段ならばそのまま口を閉じ、飲み込んでやる所だったがふと、思いついたままにレオナの上へと乗りあがり唇を重ねる。
「んぅ――ッ?」
無防備な唇に舌を差し入れて溢れそうな程に溜め込んだレオナ自身の体液を流し込む。嫌がるだろうか、逃げるだろうか、下手したら突き飛ばされでもするのでは無いか、そう思って身構えていたジャミルだったが、レオナは一瞬眉を潜めたものの、すぐさま大きな舌がジャミルのそれと絡みつき貪るように吸い上げられた。
「んんぁ……ッふぁ」
それどころかぐるりと体制を入れ替えられ、気付けばジャミルはシーツに押し付けられていた。逃れる間も無く酸素すら奪われる勢いで口内を荒されてぞくぞくする。気持ち良くて息苦しくて、二人分の唾液と精液が混ざったものを喉を鳴らして飲みながらレオナの舌を追いかける。
漸く解放された頃には息も絶え絶えになったジャミルの滲んだ視界に、牙を剥き出しにして満足げに笑うレオナの姿があった。仕掛けたつもりがまんまとやり返されてしまったが悔しさはあまり無かった。それよりも痛い程に下腹がじくじくと疼いているのを早くどうにかして欲しかった。上がる息ではまともな言葉にできず、代わりに両腕をレオナに向かって伸ばせば応えるように覆い被さる広い背中を、ジャミルは強く抱き締めた。
[0回]
PR