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空箱

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焦らす話

 ゆうるりと閉じた場所を押し開かんとする熱の固まり。そのままゆっくりと腰を落とせば限界ギリギリまで縁を広げられてからすとんと細くなる。じんじんと痛いほどに疼く奥と、もう一度目一杯広げられたくてじくじくする入り口、どちらを取るかを悩んだ末に少しだけ前のめりに身体を倒して尻を浮かせる。先程とは違い、縁の内側を擦りながら広げられて思わず熱の籠ったため息が漏れた。  
「きみ、そこ好きだよね」  
 揶揄うような声は無視してゆるゆると腰を揺すれば思った通りの快感が背筋を駆け上っていった。気持ち良い、それと同時に奥の疼きが酷くなった気がする。下肢へと伸ばした指先でそうっと縁をなぞれば引き伸ばされてつるりとした感触。きぅ、と中が入り口に引っ掛かっただけの熱を引き込むように絞られて、つい尻の下に敷いた男と同時に喘ぎを溢す。  
「ねぇ、早く奥まで入れてよ」  
 熱に浮わついた声が泣き言めいて心地よい。普段好き勝手に人の身体を好きに開く男は今、レイヴスの下でただレイヴスから貰える快感を待ち望んでいる。悪戯な両腕はベッドヘッドへと繋がれ、急かすように腰を浮かせても上から体重をかけて押さえつけられていればそれも微々たる抵抗だ。むしろ予期せぬタイミングで浅い所を抜き差しされてレイヴスの楽しみに貢献している。  
「ゆっくり、な。約束だろう」  
「こんな生殺しにされるとは思って無かったんだよぉ」  
 はあはあと荒い息に肩を上下させなから耐えるように眉をひそめる顔はたまらなくセクシーだと思う。絶対に本人に言ってやるつもりは無いが。普段ならば既に奥深くまで熱を突き入れて思う存分腰を振っている頃合いだ。それが手も足も出せずにただ耐える事を強いられている。生かすも殺すもレイヴス次第、その実感がまた体温をあげる。荒くなる呼吸を宥めるように乾いた唇を舐めると既に固くひび割れていた。  
「もう少し、我慢しろ」  
 鼻先に宥めるような口付け1つ。レイヴス自身、奥はそこに心臓があるかのように疼いて破裂してしまいそうなくらいだ。それを勿体振ってゆっくり、ゆっくりと腰を下ろして行く。じわじわと奥へと染み込む熱が遂に脈打つ場所へと辿り着く寸前で止めれば自分でも面白いくらいに中がうねって飲み込んだ熱に絡み付くのがわかった。  
「ぅあっ……」  
「んんぅ……」  
 ぞくぞくと背筋を走り抜ける感覚に思わず身を守るように肩がすくむ。内腿ががくがくと震わせながらもなんとか溢れそうになったものを押し込めた。まだだ。まだゆっくりと味わいたい。  
「ねぇ早く、限界だよお」  
 本当にこの男は堪え性が無い。弱々しく掠れた声にねだられて再び込み上げそうになる熱を細い吐息で逃す。言葉通り、ビクビクと跳ねる熱が中の浅い場所をかき混ぜてぬちぬちと音を立てている。  
「うるさい」  
 そっと片手で口許を覆ってやれば、間髪入れずにぬるりと指の間にねじ込まれる舌先がねっとりと指の股をなぞるのに息を呑んだ。遅れてじわじわと肌の上に熱が滲んで溶けて行く。暑い。思考までがぬかるんで行くようだ。  
 は、と浅く息を吐き出してから意を決して更に腰を下ろして行く。期待通りに良い場所を擦りながら奥深くへと潜り込んで行く熱に知らず天井を仰いだ。身体を満たす充足感を一つ残さず受け止めるように自然と目蓋が下りて意識がそこだけに集中する。  
「……っは、」  
 知らない間に息を止めていたらしい。絶え間なく押し寄せる緩やかな快感に頭がぼうっとする。再び瞼を持ち上げた視界はぼんやりと滲んでいた。尻の間に男の下生えが触れてようやく息が漏れる。ぺたりと体重を落として座り込んでしまえば身体の奥底がみっちりと熱に埋め尽くされている満足感に口の端が緩む。ゆうるりと腰を前後に揺らせば中を一杯に押し広げるそれがずるりと内側全体を擦り上げて行く。いつもよりも時間をかけたお陰か脈打つ血管までわかりそうなくらいに敏感になった粘膜が喜んで熱に絡み付いている。男の腹筋の動きに合わせてびくりびくりと中で跳ねる熱を宥めるようにぎう、と締め付けてやれば情けない声が掌の下で震えた。  
「ゆっくり、な?」  
 もう一度、確認するように恨めしげなアンバーの瞳に告げてから、本格的に動き出す為にレイヴスは両手を男の胸元へと置いた。 

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