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空箱

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死人の熱

 ひやりと指先に触れる温度は冷たい。それはレイヴスの体温が高くなっているから余計にそう感じられるのかもしれない。普段から熱を感じさせない冷えた肌はこんな時でも変わらないままだ。薄っすらと汗が滲んでいるのだけが僅かな救いだった。  
「気持ち良いのか?」  
 思わず聞いてしまった事に他意はない。かつて抱いた女の肌は染み出すように熱を孕んでいた。突き入れた泥濘はくつくつと沸騰しているような熱さだった。それがこの男には無い。触れていればレイヴスの熱を吸い取ってようやく温かみを感じるような肌、温度が高い筈の体内は温いとも言える温度であっさりとレイヴスの熱さに負けてしまうような低さ。  
「……気持ち良いよ」  
 ふ、と吐息交じりに笑う男がほら、とレイヴスの右手を腹の下へと誘う。二人の間で揺れるそれは確かに興奮の度合いを示して硬くなっている物のやはり思ったような熱量は感じられ無かった。せめてその硬さを確かめるように掌全体で包み込んで緩く撫で擦るとンん、と耳元で喉を鳴らす音がした。  
「ほら、焦らしてないで早く」  
 冷たい指先が頬を撫でて首裏へと周り、そっと引き寄せられる。こんなにもレイヴスの身体は熱くなっているのに冷えたままの身体をどうしたら温められるのかわからないまま、少しでも奥深くに熱を送り込むように強く腰を掴んで突き上げた。 

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