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空箱

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ゼノサ×黒バス

【666と669】
火神大我は、人には言えない記憶を持っている。
それは恥ずかしかった思い出や後悔している失敗等では無い、火神大我では無い一人の少年の生涯の記憶だ。
その記憶に気付いたのは中学三年の頃からで、最初は夢の中で記憶を見ているだけだった。
途切れ途切れに夢見る記憶は現実からかけ離れた物ばかりで、最初は我ながら妄想力逞しいと思ったものだ。
数kmを超える宇宙戦艦だとか、歳を取らない身体だとか、ガンダムのような巨大な人型ロボットだとか、普通、現実の記憶だとは思わないだろう。
それが自分の記憶なのだと思ったきっかけがある訳ではない。
ただ不意に、これはかつての自分の記憶なのだと理解したのだ。
穏やかな思い出も、胸を割くような後悔も、夢の中の登場人物に同調して感じている訳ではない、自分だけの想いなのだと自覚したのだ。
それからは夢の中に限らず、ふとした瞬間に思い出したり、思い出した覚えが無いのに覚えていたりと「もう一人の記憶」はすっかり火神の中に定着している。
自分のこれまでの生涯と同じで、全てを覚えている訳では無いが心に残る思いでだけは幼少時から死ぬ間際まで全て覚えていると断言出来る。


だが覚えている、と言ってもそれが日常にどう生かされる訳でも無い。
記憶の中の少年は宇宙船で色んな星やコロニーを飛びまわり、人型ロボットに乗って闘って居たりしていたが、今この世界でそんな日常が存在するのはアニメやゲームの世界だけだ。
そもそも、明らかに記憶の中の世界の方が未来の世界で、火神が居る世界の方が過去だ。
そんな記憶を誰かに話してもドン引きされるのが関の山だろう。
何故こんな記憶を持つ事になったのか、その意味を探る事に興味が無い訳でもないが今までオカルトに全く興味が無かった一介の高校生には手に余る事象だ。
普段は余り記憶について考える事も無く、ふと思い出したとしてもあの時代ならば今と違って…、とちょっとした比較をして懐かしむ程度の物だったのだが。


ある日、部活が終わった後。
普段ならば空腹に耐えきれず急いで着替えて帰る所なのだが、その日は何故かとても眠かった。
食い気に勝る眠気は余り経験した事も無く、それならば10分くらい仮眠して行ってもいいか、とベンチに横になる。
まだ体育館で自主錬している人間が居る筈で、うっかり寝過ごしてもきっと彼らなら起こしてくれるだろう、そんな気楽なつもりで。


眠った、という感覚は無かった。
だがふと瞼を持ち上げると蛍光灯が眩しく輝き、眼を閉じる前までは明るかった窓の外がすっかりと暗くなっていた。
思いのほか寝ていた事実に驚きながらもふと傍らへと目を向ければ黒髪の青年の背中が一つ。
きっと主将なのだろう、机に向かって書きものをしている姿はまだこちらに気付く様子は無い。
ぼんやりとその背中を眺めながら、そういえば記憶の中でよくこんな光景を見たな、と思い出した。


少年の姿のまま成長を止めてしまった自分とは違い、すくすくと育ちやがった弟は一端の実業家としていつもモニターと睨めっこしていた。
外で好き勝手に暴れまわっていれば良い自分とは違い、大人のお付き合いやら腹の探り合いやら数字との戦いやら、何かと時間に追われる生活をしている弟に申し訳ない気持ちが無い訳ではないが、こればっかりは見た目の問題という物で仕方が無い。
立派な成人男性として成長した弟ならともかく、十代の半ばにも満たない年齢のまま成長を止めてしまった自分が交渉の場に赴いた所で鼻で笑われるのがオチだ。
外見がそうだからといって、流石にもう弟とべたべた一緒に居ないと寂しいなんて歳でも無いが、まさかひと眠りしてもまだ終わらないくらいに夢中になっているとは思わなかった。
逆に、寝ているから幸いと切り上げる筈だった仕事を続けているのかもしれないが。
『ガイナン、いい加減に仕事から離れないとお兄ちゃん泣くぞ』
心の中で思う、よりは強く。
自分達兄弟だけが繋がる心の声を振り向かない背中へと投げつける。
きっと言った所でこの弟は平然とこっちを見ないまま返事を返して来るのだろうけれど――
「――えっ?」
ば、と振り向いたのは記憶の中の弟なんかでは無く。
逆光になって影になっていても尚驚きに見開かれた目が眼鏡の奥で火神を凝視する。
その余りの視線の強さに火神の眠気も吹っ飛んで、なんとなく身を起して居住まいを正す。
「えっ、…って……」
もしかして口に出して言ってただろうか。
寝惚けて居たにしてもあの台詞は、ちょっと、聞かれたら恥ずかしい。
一人であわあわし始めた火神を余所に、少し眉を寄せて考え込んだ日向は火神から視線を外さないままで。
『お前、アルベド…じゃあ、無いよな。ルベド、か?』
耳では無く、脳内に直接語りかけられる声に今度は火神が驚きに目を見開いた。
ルベドは間違いなく記憶の中の自分の名前で、アルベドはもう一人の弟の名だ。
『……え、いや、だって、え?主将が、え?何で…?』
『おい、心の声ダダ漏れだぞ。パニクりたいのはこっちだ、何で小さかった兄がでかい年下になってるんだ』
『そんな事知らねぇよ、…です、いや、え、ガイナンなのか…です?』
耐えきれなくなったのか、ぶは、と日向が噴き出す。
「お前、動揺し過ぎだろ…っつーか、バ火神がルベドって…!!!」
ツボに入ってしまったのか腹を抱えて声も出ない程に笑えて震える日向に火神はどうしていいのか分からない。
馬鹿にされているのはわかる、わかるのだが何とも反論出来ない辺りが悔しい。
記憶の中の自分…ルベドは見た目は少年ながらも博識で、蘊蓄を垂れ流したり難しい語録をふんだんに使ったポエミーな台詞回しの多い少年だった。
英語も日本語も危うくボキャブラリーの貧困な火神とは正反対とも言える。
「それを言うなら主将こそ、ガイナンって…!!」
幼少期から青年になるまで、通じてガイナンは「穏やかで優しい優等生」タイプだった。
間違ってもクラッチタイムに入って暴言吐いたり髪を金髪に染めてテッペン目指したりしないような。
「…はは、まあ、ガイナンだった記憶がある、ってだけで俺は俺でしか無いからなあ」
まだ笑いの余韻を引きずりながらもそう言う日向の眼差しは優しい。
まるで、ルベドの他愛も無い無茶に、仕方ない兄だな、と笑って見守るガイナンのような。
急に膨れ上がった感情が火神自身の物なのか、それとも記憶の中のルベドの物なのか分からない。
わからないけれど、感情が突き動かすままに日向を抱きしめた。
記憶の中とは違いすっぽりと腕の中に収まる日向の身体は違和感があるのに懐かしい。
「ばかやろう……」
眼頭がかっと熱くなって声が震えた。
もう失った物だと思っていた。
取り返せない物だと思っていた。
死ぬ間際まで後悔した別れだった。
それが今、腕の中にある。
ばかやろう、もう一度だけ呟いて抱きしめる火神の背を、日向はただ優しく撫でてくれた。



【666と668と669】
「はああ!?火神くんがルベドぉ!?」
キン、と耳をつんざくカントクの素っ頓狂な声など余り聞く物では無い。
思わず身を竦めながら随分下の方にあるカントクを恐る恐る窺い見る。
「なんかわかるようなわからないような…でも確かに馬鹿な所はそっくりね」
うんうんと一人で納得するのは良いが、やっぱり馬鹿は付きまとうのか。
なんだか遣る瀬無くなってきてがくりと肩を落とすと日向がぽんと肩を叩いた。
「まあ、なんだ。頑張れ。」
応援の言葉はありがたいが、完全に関わらない気でいる日向はきっとかつてのルベドとシトリンの仲の悪さを思い出しているのだろう、綺麗な笑顔で遠い目をしている。
確かに、シトリンを殺したのは火神…もとい、ルベドだが。
あの時とは状況も世界も違う、それに記憶を持っているとはいえ火神は火神でしか無い。
そう理解していても、自分が殺した相手の記憶を持つ人を前にするとどうも居心地が悪い。
そもそも元から犬猿の仲と言うか、馬が合わないというか、とにかく相性が悪いのだ、この妹とは。
「安心して頂戴、別に記憶の中の出来事を恨んだりはしてないから。私は私だもの」
カントクも考えは同じらしい、それは良かったと思う。
だが「火神くんがルベドかあ~、うふふふふ~」と怪しげな笑みを浮かべるカントクは安心したくてもしきれない。
不穏な未来に火神は思わず日向と同じ遠い空を見つめた。



【666と669と混沌】
記憶の話で花を咲かせる、には少しばかりこの記憶は辛い物が多い。
けれど、その辛い記憶の渦中の二人が今、此処に存在する。
それが嬉しくて以前よりも三人が共に過ごす事が多くなったと思う。
今日も黒子は早々に帰ってしまい普段ならば一人で向かう事が多かったマジバへと日向と共に歩いていたのだが。
「ぐのー…しす…???」
「…やっぱりお前もそう思うか?」
平和な日本の一般道にふよふよと半透明の身体で浮かぶ異常な生き物は記憶の中で対峙していた敵そのもので。
思わず足を止めて凝視していた二人に気付いたソレは一瞬の間をおいた後、勢いよく襲いかかってきたので思わず二人で揃って背中を向けて走り出した。
「何でグノーシス!?っつーか本当にグノーシスなのかあれ!?闘えっつーのか!?」
「いやでもあの状態は触れ無ェっすよ!?ヒルベルトエフェクトも無いのにどうやって!?」
「そもそも武器も無ェ一般人だっつーの今は!!第一お前はしょっちゅう闘ってたかもしれねぇけど俺は記憶の中でも実戦なんて大人になってから殆どしてねぇよ!!」
「だからって俺にどうにか出来る訳無ェだろです!!ケイオスが居るならともかく!!」
運動部員の全速力で走って漸くぎりぎり追いつかれないレベルの速さで迫る敵から逃げ続ける事しか出来ない二人は、何か手を探さなければきっといずれは捕まってしまうだろう。
何か策は、と叫ぶようにして議論した所で何一つ浮かぶ筈も無い。
そもそもテクノロジーが違うのだ。
巨大な宇宙戦艦も、有機物から無機物まで何十光年と離れた場所でも簡単に移動出来るU.M.Nも、人と殆ど変らない肉体を持ちながら「モノ」として扱われるレアリエンも居ない。
「火神、レッドドラゴン!!レッドドラゴンモード!!!!」
「今なった所でグノーシスに触れなきゃ意味無ェっつーかそもそも使えるのかどうかもわからねぇっすよ!!」
「ああああ百式でもKOS-MOSでもA.M.W.Sでも何でもいいから誰か転送しろおおおおお」
「主将、眼からビームでばしゅんってなんとか出来ねぇんすか!!」
「いやだから触れ無けりゃ意味無ェだろ!!!」
パニック、とはこういう事を言うのだろうか。
いい加減堂々巡りの会話は気付いているのだが、いかんせん、培った経験が全く使えない状況下での逼迫した状況というのは、百戦錬磨だった「記憶」の当時ならともかく、一介の男子高校生には恐怖でしか無い。
一応は他に被害が出ないように人気の無い道だけを選び、今の所誰も遭遇していないのが幸いだがそろそろ体力が持たない。
肺が破れそうに痛くなっている。
重たくなった足がいつ縺れるとも分からない。
「ルベド役に立たねぇええええええ何でお前ケイオスじゃねぇんだよおおおおおお!!」
「あんたこそガイナンなんかじゃなくて何でケイオスじゃねぇえんだよおおおおおおお!!!」
そろそろ何を叫んでいるのかお互い良く分からなくなってきた頃。
ばすん、と、不意に背後で音がした。
何事かと思って二人揃って振り返ってみると、何故かイグナイトをかます時の腕の形をした黒子が一人立っていて、今まで背後に迫っていたグノーシスは、多分グノーシスだった物がさらさらと細かい白い粒子となって風に流されている。
ぽかんと。
ただ本当にぽかんと口を開けた日向と火神に見つめられて黒子はいつもと同じく「どうも」と言って無表情に小さく頭を下げた。
「ええと、なんかお呼びだったようなので……」
「「っはあああああああああああああああ!!!????」」
まさかこの影の薄い仲間が宇宙を崩壊に導く切欠の存在だったと誰が思っただろうか。
思わずがくりと揃って膝をついて地面に突っ伏した日向と火神を見て、「相変わらず仲の良い兄弟ですね」なんてのたまった黒子に突っ込みを入れる気力はもう、無い。



------



グノーシスの出現、黒子がケイオスの記憶を所持し、尚且つ同じ能力を保持している事実。
このまま「じゃあまた明日」なんてさらっと別れるなんて事も出来ず、結局三人でマジバへと流れ着いた。
そもそも、火神と日向は元々マジバに行くつもりだったのだ。
思わぬ出来事で随分と遠くへと走ってしまったが。
「それにしても主将がニグレドだったのはともかく…火神君がルベドなのは意外ですね」
ずず、とシェイクを啜りながらしみじみと日向と火神を見比べる黒子に、火神は思わず首を傾げた。
「意外?カントクにも主将にも、似てるって言われたぜ?」
「カントクが言ってた似てる所は「馬鹿な所」だけどな」
「馬鹿な所…っぷ…あ、いえ、すみません…」
主将の茶々入れに噴き出した黒子は笑っているのを隠そうとしているのか、見せつけているのかわからなくてなんだかムカつく。
いっぺん殴ってやりたいがテーブルの向いに座っている相手を殴るのはなかなか面倒なので仕方なく睨むだけに留める。
「火神が馬鹿なのは仕方ないとして…しかし黒子がケイオスとはな。」
「僕からしたらこんな間近にニグレドとルベドが居る方が驚きです。」
「ああ、そういえばシトリン…No.668も居るぜ、というかカントクなんだが」
「そうだったんですか、それは何と言うか…凄く、納得してしまいました。」
ほのぼのとした会話が繰り広げられるのをどうにも釈然としない気持ちでハンバーガーを咀嚼する。
まだ暖かさを残すハンバーガーはアメリカの物に比べたらサイズが小さくて三度も齧りつけば無くなってしまうような物だが味は悪くない。
「けれど、それならアルベドは?やはり誠凛に居るんですか?」
黒子の言葉に思わず一瞬固まり、主将と窺うように視線を合わせてから緩く首を振った。
「いや、まだ…見つけて無い」
「そうですか……」
アルベドは火神にとって魂を分けた片割れだが、同時にニグレド以上に複雑な感情を抱えたままの相手だ。
火神がルベドだった時ならば、過ぎた事、過去として処理し、時間と共に割り切る事が出来たが今のこの世界に、ニグレドと同じように生まれて来ているというのなら。
正直、火神はどんな顔をして会えば良いのかわからない。
そもそも、ニグレドとてたまたま、考えるよりも先に知ってしまったからこうしていられるものの、自分から探してみようなんて気は起きなかっただろう。
「けれど、ルベド、ニグレド、シトリンが揃っているのでしょう?アルベドもすぐ近くに居るような気がしてならないのですが」
「それはちょっと思ったが……俺はアルベドに嫌われているからな」
はは。と。
爽やかな笑顔で主将が傍観者の立場に逃げるのを横目で睨む。
実際、アルベドはルベドの中に入るまで散々「お前らが大っ嫌いだ」と公言して憚らなかったが。
行動はそんなでも無かったと思う。
というより素直になれなかっただけなのだと思う。
そんな事、主将だって分かってる筈なのに。
「やっぱり此処は、お前が呼び掛けてやるのがいいんじゃねぇの?」
「そうですよ、君たちはお互いに鼓動を感じる程に近しい存在だったのでしょう?」
二人とも他人事だからって親切そうな顔で言うが、火神にはなんとも頷き難い。
会いたい、とは思うのだが、会うのが怖いとも同時に思う。
それはあの時、アルベドの手を離してしまった所為で汚染された事や、一人だけ生という檻に閉じ込められた恐怖を分かってやれなかった後悔、他にも諸々の負い目がある所為だ。
日向や監督のように、記憶の中と今の自分は違うから気にしていないと言ってくれるのなら良い。
だがもしも、記憶の中の出来ごとを恨んでいると言われたら。
償わなくてはいけないのだとは思うが、まだ火神にその覚悟は出来て居ない。
「それとも俺が話しかけてみるか?アルベドと念話なんて、大人になってからは一回しかしたこと無いが」
「え、した事あるのかよ?…っつーか主将がやってくれるならそれでいいじゃねぇか、俺じゃなくても」
「ただし、俺、その一回の念話で多分、アルベドの身体の何処かふっ飛ばしてるんだよなー、意見の相違があったもんで」
はは、と相変わらず爽やか過ぎて胡散臭い笑顔の主将の飛んでも無い発言に思わず咽る。
ニグレドが吹っ飛ばす、と言ったら眼からばしゅんとビームみたいなのが出て身体が吹っ飛ぶ技?の事なのだろうが。
今の時代でも出来るのか出来ないのかは定かではないがもしも出来たとして、アルベドが前と同じようにつんけんしていて、しかもアルベドの再生能力が無かったら…ただの殺人事件にしかならない。
「……俺が話しかけてみる…です…」
まだこの歳で主将に、引いてはかつての大切な弟に殺人を犯させる訳にはいかない。
未だ腹は決まっていないが主将に任せてもいられない、火神はぐっと拳を握りしめて瞼を伏せた。
『アルベド…――アルベド、居るか……?』
眼の前に居る相手だけでは無い、全世界へと発信するつもりで強くアルベドを呼び掛ける。
きっとこの場に居る主将も、今頃自宅に居るのだろうカントクもこの声が聞こえている筈だ。
もしも標準体で今の世界に生まれ変わった奴がいるのならそいつにも聞こえるかもしれない。
少しでも広い範囲に、少しでもはっきりと伝わるように。
『やあ、俺がアルベドだけど…君は誰だい?この懐かしい感じはルベドかニグレドかな?』
反応は思ったよりもあっさりと帰ってきた。
思わずびくりと肩を跳ねさせた火神を主将と黒子が心配そうな顔で見ているので、とりあえず大丈夫と小さく一つ頷いて見せた。
『俺だ、ルベドだ。……お前、』
『WOW!!ルベドか!!久々だね、元気にしてたかい?またこうして話が出来て嬉しいよ』
話を遮るようにして興奮気味のアルベドの声が重なり、火神は一瞬、ん?と首を傾げる。
なんだか何処かで聞いたことがある気がする声。
WOW、なんて普通、日本人は使わない。
アルベドの何処か陰鬱さを感じるハイテンションとは違う、アメリカ人のようなノリ。
「……アメリカ人?」
「どうした火神、アルベドがアメリカ人だったのか?」
「いや、日本語も喋ってるんだけど……」
「日本語が喋れるアメリカ人って事ですか…?」
そういえば元々黒子は念話が聞こえないし、火神からの最初の発信は全てのURTVに聞こえるように発信したがそれ以降はアルベドにしか聞こえないようにしていたから二人は火神の反応でしか様子が窺えないのだろう。
そわそわと落ち着き無く身を乗り出している二人を宥めながらまず何から、どう聞くべきなのかと頭を巡らせ…
『っっお前、もしかしてタツヤか!!!?』
『あれ、そうだけど……もしかしてその声にその呼び方って、タイガか…?』
何処か聞き覚えのある声だと思ってはいたのだが、間違って居なかった。
本当に、URTVの変異体は皆すぐ傍に居たらしい。
喜んでいいのか氷室がアルベドという何処か恐怖を感じる組み合わせに怯えればよいのか、火神にはもうわからない。
『なんだ、タイガがルベドだったのか。…という事は、昔と逆で俺が兄貴だね』
ふふ、と。
その笑みの声がむしろ火神には恐ろしい。
というよりなぜ長男だったハズの自分が今では末っ子になってしまっているのか。
しかも弟や妹は皆、火神の頭が上がらない相手ばかりだ。
火神はわけもなく思った。
どうしよう、と。


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今更プレイする方はいらっしゃらないと思いますが
ゼノサーガの重大なネタばれを含みます。
ご注意ください。


【U.R.T.V No.666】こと【ルベド】こと【ガイナン・クーカイJr.】=火神
URTV内の変異体の中で一番番号が若い長男。
とある強過ぎる力を持っている為、それの暴走を防ぐ為に無意識に身体の成長を止めている(=成長を止める能力がある)
見た目は13歳程度。中身は26歳。
URTVのリーダーとして、長男として、頑張ろうとしたけれど結果としてURTVはルベド以外皆お亡くなりになりました。
669もといガイナンと戸籍上は義理の親子。
二人で「クーカイファウンデーション」という組織を持ち、コロニーや巨大な宇宙戦艦、ガンダムみたいな人型兵器を持っている


【U.R.T.V No.669】こと【ニグレド】こと【ガイナン】=日向
変異体の中で、というよりURTVラストナンバー。末っ子。
肉声で人を操れる能力を持ってる。あと、ルベド等、力が暴走したURTVを始末する処刑人という役目を持っている。
クーカイファウンデーションで実業家をやっていた物の、お父さんに身体乗っ取られて散々悪事働かれて、最終的にルベドとアルベドを救う為にと自殺のようなお亡くなり方をした。
URTVとしての能力なのか、それともニグレドの特殊能力の一つなのか、眼からビームを出してアルベドの腕をふっ飛ばした事がある。


【U.R.T.V No.668】こと【シトリン】=リコ
ニグレドと同程度の能力を持ち、処刑人の役割を持っているのも一緒。
ただし、ニグレドとルベドはお父さんの手から離れて生きようとしていたのに対し、シトリンはお父様一筋お父様の為にな生き方をした。
結果、お父さんの悪事を止めようとしたルベドと対峙し、死亡。


【U.R.T.V No.667】こと【アルベド】=氷室
成長するけれど死なない身体を持つ個体。頭を拳銃で吹っ飛ばそうと内臓抉ろうと腕がもげようと瞬時に治っちゃう。
一人だけ死ねない為に酷く不安定な精神だった上にU-DOという変な物に汚染されてアヒャる。
色々紆余曲折あった後(ゲーム二作目のシナリオはただのルベドとアルベドの兄弟喧嘩でした…)、お父さんに身体を乗っ取られたニグレドを助けようとやってきたものの、結局ニグレドに助けられる形でルベドの中に入る。


【ケイオス】=黒子
宇宙の崩壊の大元だか切欠だか、とりあえず彼が存在するから宇宙は崩壊するらしい。
その元凶の「力」の殆どは封印されているらしいのだが、何故か彼はグノーシスに触れるだけで消滅させられる。
ヒルベルトエフェクト無くても消滅させられる。
なのに彼がパーティメンバーに居てもグノーシスと通常の戦闘を行わなければいけないのか。
ゲーム中、最も「設定」と「現実」の差にいらっとさせられるお方である。


【U.R.T.V】とは
U-DOというよくわからないけれどすげー怖い存在?の反存在。対抗する為の兵器のような物。
669体も生みだされているけれど、そのうち665体は皆黄色い頭で個人という意識が薄く、常にぼやーっとしてる人形のような物。
666番目以降(ルベド以降、変異体と呼ばれる)の四人だけ、髪の色も違い、個性がはっきりとある。
特殊な能力もそれぞれ有り、力も大分強いらしい。
666ルベドと667アルベドは生後2週間?くらいまで背中がくっついていた癒着性双生児であり、本来は一つの身体に収まるべきと作中では考えられている節がある。


【グノーシス】とは
なんか敵。
ヒルベルトエフェクトという特殊な力場が無いとこちらからは触れない攻撃出来ない、なのにグノーシスから触られると人間は塩になって死んでしまうという恐怖の存在。
ヒルベルトエフェクト自体、本来は発生させられる人(?)が限られているので、結構怖い存在。


【KOS-MOS】
別名モッコス様。邪神。戦闘用アンドロイド。
ゲーム中では可愛いよ!!(ゲーム二作目を除く)


【A.M.W.S】
ガンダムみたいな人型兵器。
勿論人が乗って操縦するよ!!



補足:
本来、ゼノサーガの世界は今から1000年後くらい?の世界だったハズですがそれは並行世界って事で。
ツァラストラが本来の通りに稼働してやり直された世界で転生したURTVって事で。

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