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空箱

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溶解

はぁ、と漏れた吐息は何かを成しえた時のような、まるで事後のような達成感に満ちていた。
何度目かもわからぬ交わりの末とは言えど、すっかり慣れ親しんだ胎の内に熱を埋めたばかりだというのに。
惰性で走り出しそうになった欲をひとまず飲み込み、代わりに組み敷いたジャミルの頬に張り付いた髪をそっと指の背で払ってやると、熱に蕩けた瞳がゆるりと満足げに笑みを象った。
「……ご機嫌だな」
「入ってるな、って思って」
「今更何言ってやがる」
「それは、そうなんですけど」
言いながら首に巻き付いた腕に引き寄せられて唇を重ねる。温い温度で混ざり合う唾液が少し塩辛い。粘膜のみならず、触れた肌すら溶けて混ざりあうような気怠い熱に溺れそうになるほどたっぷりと舌を絡ませて飲み込む。
暑い。
思考すらどこかへ忘れ、ただぬるま湯の心地よさを追い求めてジャミルの薄い唇を貪っていれば、ふと笑うような吐息を受け取り顔を上げる。
「……汗、すごい」
「そりゃあな」
ジャミルの掌がレオナの頬を撫でてべったりと張り付いた髪をかき上げ、そうして残された肌がひやりと冷えて忘れかけた呼吸を取り戻す。こんなにも茹だるような暑さの中で汗だくになっているというのに、不快感よりもまだどろどろに蕩けていたいという欲の方が上回っていた。
飢えているわけではない。でも満たされているわけでもない。
解決策を探すこともなく、ただ目の前に与えられた快楽に沈んで停滞している自覚はあるが、ジャミルも欲のまま溺れる事を望んでいるのなら、別にそれでよかった。
「……ずっと、ここに先輩が入っていればいいのに」
ここ、と。レオナの頬から滑り落ちた掌がジャミルの腹を摩る。細身ながらも筋肉に覆われたそこからは、呼吸とともにレオナを咀嚼する淫らな動きは見えない。だがあまりにも幸せそうに撫でるから、レオナはジャミルの手の上から手を重ねて共に撫でる。
「随分ヤらしい願望じゃねえか」
「……そういう、つもりじゃなかったんですけど、――っ」
お望み通りに存在を主張してやるように掌目掛けて腰を押し付けてやればわかりやすくぎゅうぎゅうに中が締まりジャミルの背が浮く。長時間、熱に溶かされた身体は随分と敏感になっているらしい。優しく内側を撫ぜるように揺するだけで細やかに肌を震わせてジャミルが鳴いていた。
「出来る事なら、叶えてやりてぇけどな」
無意識にか逃れようとする腰を掴んで引き摺り戻して腰を打ち付ける。レオナとて、出来る事ならばこのまま一つに溶けていたかった。

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