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空箱

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監督と主将

「明後日、キセキの世代のスカウトに行くんですが、一緒に来ませんか?」
さも今思い出したと言わんばかりの誘いは原澤らしからぬタイミングだった。
「ピロートークにしてはムード無いんちゃうん?」
だから今吉は茶化した答えを返してみるも、原澤は至って変わらぬポーカーフェイスを崩さない。
「すっかり話すのを忘れていましたので。此処で言いそびれたらまた忘れそうですし。」
あたかもどうでも良い事のように話す割に、原澤が誘うからには何かしらの理由があるのだろうと今吉は小さく息を吐く。
自分が周りから腹に一物を抱えていると思われているのは十分承知しているし、実際そうだと思うのだが原澤はその自分と同等かそれ以上に腹が黒いと思う。
だが今吉と違って胡散臭さを感じさせない、冷静な大人の落ち着きとして表れているのは生きた年月の違いだろうか。
煙草を取ろうとサイドボードへと手を伸ばす原澤の腰へと擦り寄って緩く抱きしめればまだ乾ききらない汗がしっとりと肌に染み込んだ。
体格は然程今吉と変わらないが、現役を退いて年月の経つ原澤の身体は薄い筋肉を纏っただけの細い身体なのにこうして体温を分け合っていると酷く落ち着く。
「まあ、ええねんけど。何企んでるん?」
「企んでるだなんて酷い言われようですね。…少々、手のかかる子のようなので歳の離れた私よりは同年代の子と話した方が説得しやすいかと思っただけなんですが。」
くしゃりと頭を撫でる手の心地よさに目を閉じるとジッポが立てる小さな金属音、それから苦い、煙草の香り。
俺も、と手を伸ばしてアピールしてみるが、駄目です、と即座に拒絶されて優しく手を握られて指先に口づけを落とされる。
まさか自分がこんなにも穏やかに丸めこまれる相手が居ると思っていなかった。
いけず、と小さく幼子のようにぼやけば頭上で笑う吐息が聞こえた。


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原澤にとって、今吉という生徒はありのままに言うなれば「都合のよい人間」だ。
同じ同性を性対象とする人種であり、お互いの間に恋愛感情が無く、余計な事を言わずに心地よい距離感を保って行ける子供。
倫理観の無さ等とうの昔に自覚しているし、きっと今吉とて今更貞操観念云々を説いた所でもう変わる事は出来ないだろうという確信がある。
良くも悪くも原澤と今吉は似ている。
きっと今吉にとっても原澤は「都合のよい人間」であり、余計な事を言わずとも今吉にとって心地よい場所を提供出来る相手なのだろう。
ともすれば同族嫌悪に陥りやすいタイプの二人だが、手を取ってさえしまえばこんなにも居心地が良い。


帝皇中学校へと向かう日。
原澤の運転する車の助手席に収まった今吉は何処か上機嫌だった。
「しかしよくキセキの世代がまだ残っとったなあ、粗方有名所に持ってかれたと思っとったわ」
「どうも、片っ端から引き抜きを断っているらしいですよ。そのお陰で私達にもチャンスが巡ってきたわけですが。」
「これで今日会いに行くのが幻のシックスマンとかやったら笑うで」
桐皇のモットーは「勝てば官軍」だ。
声高に掲げているわけでは無いが、この一年でゆっくりとその意識が浸透していった、というよりもさせていった。
まず、レギュラーはある程度の年功序列があったのだが、一切無くして実力主義になった。
スカウトに力を入れ始めたのも有り、今年こそはレギュラーになれると期待していた三年生の多くが実力の前にベンチ入りを余儀なくされ、太刀打ち出来ない実力の差にその多くが辞めて行った。
次に、WCが終わり当時の三年生が引退した後、主将にはまだ一年生だった今吉を選んだ。
原澤の私情を挟んだ訳ではない、単純に部を引っ張って行く人間として、今吉以上に相応しい人間が二年生の中に見つからなかったのだ。
そして今吉は原澤と同じく、「勝つ為のチーム」を求めていた。
仲良しこよしのチームも、高校生活の良い思い出作りも必要無い。
必要とするのは純粋に「強い選手」。
幻になってしまうような選手等、桐皇に来た所で役に立たないだろう。
「今日の相手、当てたろか。青峰やろ。」
信号待ちで停車した一瞬に横目で見やれば、どや、と自信に満ちた双眸にかち合う。
原澤とプライベートな時間にならともかく、制服を着たままそんな年相応の幼さを見せつけられて思わず微笑ましさに口許が緩む。
「ええ、そうですよ。よくわかりましたね。」
「問題児で、ワシが必要そうな相手やろ?アイツの他に居らんわ」
満足げにシートに背中を押しつける姿に耐えきれず喉奥で笑うと、何笑ろてんねん、と頬を摘まれた。


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青峰との面談は恙なく終わった。
あえて原澤と今吉、別々に会った事で何かしらの結果が出て居れば良いと思う。
「青峰落としたで。あいつ絶対桐皇来るわ。」
車で待つ原澤の元へと戻るなり断言する今吉に、この選択が間違っていなかった事を理解する。
今吉が来ると言ったなら、きっと青峰は来るのだろう。
しかし。
「諏佐君や若松君はいいですけど、あんな繊細そうな子には手を出さないで下さいよ」
「なんや、人を色情狂みたいに」
「間違って無いでしょう。青峰君のような子に君は手に余ります。」
「諏佐や若松なら手ぇ出していいんかい」
「だってもう手を出しているのでしょう?それを咎めた事がありますか?」
かなわんなあ、と笑う今吉を乗せて車は滑らかに走り出す。
夕日がふつりと地平線の向こうへと消えて辺りは急激に暗くなり始めていた。
灯るネオンや街灯が眩しく見えるような景色を横目に、隣では今吉が締めたばかりのシートベルトを外して原澤へと身を擦り寄せる。
「こら、シートベルトをしなさい。」
「な、ご褒美、ちょーだい。俺、克徳さんの思惑通り青峰落としたで」
そっと耳元に落とされる囁きと頬に落ちた唇は期待を滲ませて熱を帯びていた。
運転中でさえ無ければすぐに応えてやりたい所だがいかんせん、まだ家までは大分ある。
「家まで待てないんですか。」
「待てへん。ちゅーか、克徳さんが思い出させたんやん、諏佐とか若松の。」
勃ってもうたわ、とギアを握る手に一度押しつけられた股間が制服越しにもはっきりと固くなっていて原澤は体温が上がるのを感じた。
だからといって制服を着たままの今吉を連れてホテルになぞ入れないし、車の中で事に及べる程、人気の無い場所でも無い。
はあ、とため息を一つ落として原澤は今吉を見た。
「私まで煽ってどうするんですか。ご褒美の前に躾が必要ですね」


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大通りから外れた住宅街の中にある少し大きな公園。
すっかりと暗くなった空の下、路上に車を置いて公衆トイレへと向かう。
行き交う人々は家路を急ぐばかりで、わざわざこんな場所で用を足す事も無いのだろう、暗い中で煌々と白く光るトイレはしんと静まり返っていた。
掃除はされているのだろうが拭いきれない臭いと其処此処に見える黄ばんだ汚れが変に興奮を呼び覚ます。
「相手して欲しいのなら、舐めなさい」
狭い個室へと大柄な男二人で入り込むなり熱い吐息に命令されて今吉の身体がぞくりと震えた。
流石に床に膝をつくのは躊躇われたので蓋を閉じた便器の上へと腰を下ろして原澤の股間をまさぐる。
スーツのジッパーを下ろして鼻先を突っ込めば雄の香りがアンモニア臭に混ざって脳が溶けそうだ。
下着の中から半勃ちのペニスを引きずり出して先端へと口づけを落とす。
これが固く太く勃起して今吉の中を突き上げてくれるのだと思うと愛撫にも熱が入るというもので、先端の薄い皮膚を舌先でくすぐってから徐々に口の中へと咥え込んで行く。
ひく、と口の中で跳ねるのが愛しくて喉奥まで深く咥え込んで全体を唾液で塗れさせてやると頭上で熱の籠った息が吐き出されて今吉は原澤を見上げる。
「いい子ですね」
そう言って頭を撫でてくれる掌は優しいのに、いつも穏やかな瞳が嗜虐的な色を帯びて熱っぽく潤んで居るのに今吉はたまらなくなる。
早く、一刻も早くその熱をぶつけてもらいたくて自然と口蓋から喉奥までを使って幾度もペニスを口内で擦らせる。
時折喉奥を突いてこみ上げる吐き気や息苦しさも慣れた物だ、時折噎せながらこみ上げる粘度の高い唾液を丹念にペニスへと塗す。
「本当にそうしていると色情狂そのものですね。ほら、もういいですよ、立ちなさい。」
原澤の嘲笑は今吉にとって性的な刺激にしかならない。
漸く唇から離れたペニスに、足りなくなった酸素を取り込もうと自然と呼吸が荒くなる。
壁へと手をつく形で原澤に背を向けて立つとゆっくりと制服のズボンが解かれてゆく。
ベルトを外す金属音、ジッパーを下ろして下着ごと膝までズボンをずり下げられると触られずとも先走りを溢れさせたペニスがぬちゃりと糸を引いた。
「もうこんなになってるんですか。…はしたないですね。」
ふふ、と背後から笑う吐息が耳に触れて肩が跳ねる。
確かめるようにペニスに触れる指先が先走りを塗り広げるように擦るだけで今吉の下肢が甘く痺れて膝が震えた。
「っは、…ぁ、…」
「もうお待ちかねのようですし…少しくらい痛い方が好きですものね」
ひたりと後孔へと宛がわれた熱にこみ上げる期待で腰が揺れる。
早く飲み込みたくて腰を押しつけるも原澤は尻の合間へとペニスを擦らせるだけだった。
「早く、…克徳さん…ッ」
「少し待って下さい、躾だって言ったでしょう?」
ご褒美じゃないんですよ、と再びペニスに触れられて何かと思う間も無く根元に走る痛み。
「や、…ッ嫌や、それ…ッ」
逃れようにも背後から覆い被さられた状態で膝にズボンを蟠らせていれば然程動ける訳も無く、手早く為された痛みがゴムか紐を巻き付けられて…要は射精を堰き止められたのだと知る。
じんじんと血が止まって鈍い痛みが徐々に下肢に広がって膝が萎え落ちそうだ。
「嫌、じゃないでしょう?痛いの好きじゃないですか。」
今度こそ、後孔へと触れた先端が先走りの滑りだけを頼りに狭い入り口を無理矢理こじ開ける。
ず、ず、と力尽くのようにして徐々に奥へと突き入れられるペニスは滑りが足りないのだろう、奥へと進む度に色んな所が引き摺られて痛みが走る。
「っゃ、あ…ッあ、…痛…ッ」
壁に爪を立てて必死に力を入れて居ないとしゃがみ込んでしまいそうな位に膝が震えるのが痛いからなのか気持ちいいからなのか分からない。
ただ、原澤もそれなりの痛みを感じているのだろう、荒い息遣いが肌をざわつかせて止まらない。
頭からつま先まで熱くて熱くて、熱が出た時のように視界が滲む。
漸く全てが収まった頃には今吉も原澤も荒い呼吸で肩を上下させるばかりで、滲んだ汗でシャツが肌に張り付いて何とも言えない感触だ。
「は、…動きますよ…」
宥めるように耳朶に口づけ一つ、それから宣言通りにずるりと内臓ごと持っていかれるような勢いで引き抜かれて背筋を駆け抜ける快感、それからずん、と一気に重く突き上げられて今吉から細い悲鳴が上がった。
入口が裂けたのか出入りを繰り返す度に滑らかさを益す動きに射精感が増すのに堰き止められた出口は何も吐き出させてくれない。
幾度も電流が走り抜けるような心地よい場所を固く熱いペニスが抉り取って行くのに高めるだけ高められた熱が吐き出す場所を無くして身体の中で渦巻く。
「…ッも、…っゃやぁ…ッあ、…ッ苦し…ッ」
「躾、だと言ったでしょう、…っ」
嫌だと言いながらも逃れず原澤のされるがままを受け止める今吉は征服欲とでも言うのだろうか、酷く凶暴な感情を呼び起こして止まらない。
もっと泣かせたい。もっと鳴かせたい。
本当ならばもう既に何度かイっているのだろうに、未だにイけずに熱を持て余す今吉の中はとても熱い。
自身は達せないというのに突き上げるたびにびくびくと絡み付くようにペニスを締め付ける粘膜に誘われるがまま、原澤は今吉の中へと白濁を叩き付けた。


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「さて、それでは帰りましょうか」
そう言って身繕いをする原澤は出すモノ出してすっきりしたから良いだろうが、熱を高めるだけ高めておきながら吐き出す事の出来ない今吉にはたまったものじゃない。
「無理やぁ…っせめてこれ解いて…っ」
「駄目ですよ、我慢なさい」
取り付く島もなく、それどころか今吉の先走りでぐちゃぐちゃに濡れそぼったペニスを無理矢理下着の中へと押し込めて衣服を整えられる。
今吉は縛られている上に下着に圧迫された股間が痛くて前屈みになるしかないと言うのに原澤は涼しい顔だ。
「ほら、行きますよ」
涙と汗に濡れた顔をおざなりにハンカチで拭われて外へと引きずられるようにして歩き出すと、ぬちぬちと濡れた音がペニスを掠めて一歩歩くごとに下肢が甘く痺れる。
路上に停めたままの車までの短い距離がとてつもなく遠く感じる。痛いのに、ぬるぬると擦れる布地が気持ち良くて、縺れる足をなんとか原澤に支えてもらってなんとか車へとたどり着く。
助手席にけだるい身体を沈めて渦巻く熱に耐える今吉のシートベルトを装着させる原澤はこれ以上、何もしてくれないだろう、今は。
「辛そうですね」
笑いを忍ばせて囁くだけで車は再び走り出す。
今吉にはもはや早く家に着いてくれと願う事しか出来なかった。


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原澤の家に帰り着いた頃には持て余した熱で今吉はぐったりと原澤に身を任せっきりになっていた。
縛られたまま、発散することも落ち着かせる事も出来なかったペニスは鈍い痛みを絶え間無く産んで今吉を悩ませる。
「克……徳…さん…」
広いベッドの上に転がされて漸く解放されるかもしれないと思うと情けなくも涙で声が震えた。
早く楽になりたくてなんとかズボンを緩めて脱ぎ始めても原澤は知らぬ顔でネクタイを緩めただけの恰好で今吉に触れようともしない。
「私は先程満足させて頂きましたからね。貴方と違って若く無いんですからそうすぐに何度も相手はしてあげられませんよ」
困ったように眉尻を下げてみせてもその瞳に浮かぶのは嗜虐の楽しみに煌めく光だ。
もう耐え切れない程に痛くて苦しいはずなのに、それを見たら今吉の身体に期待で震えが走る。
「とは言っても…貴方もそろそろ反省したでしょうから。暫くこれで遊んでなさい」
サイドボードの引き出しを開ければ今吉も今までに馴染みのある玩具が幾つも入っている。
そのうちの一つを無造作に渡されて今吉は原澤を見上げる。
「私がその気になるくらいいやらしい姿を見せてくれたら、その紐を解いて上げますよ」


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制服のジャケットも脱がないまま、衣服を纏わない下肢の中心で血流を止められ変色したペニスがそそり立つ様は酷く滑稽だと思う。
それをわざわざ見せ付けるようにはしたなく足を開いて、先程中に注ぎ込まれた白濁を垂れ流す穴まで曝していればなおさら。
けれど原澤が見ている。
涼しげな顔で、こちらに興味が無いような顔をしながら舐めるような視線が今吉だけを見ている。
たったそれだけで今吉は逆らう事も思い付かずに言われるがまま玩具をひくつく入口へと宛がう。
「んっ…ふぁ、…っ」
中にモーターが仕込まれた玩具の表面は案外ふにふにとして柔らかい。
男性器を模した太めの傘をゆっくりと押し込めれば先程まで本物をくわえ込んでいたそこはさほど抵抗なく飲み込んで行くが、淡く入口に走る痛みはやはり先程切れていたからだろうか。
奥まで飲み込んで、それからゆっくりと引き抜く、それだけでも餓えた粘膜が絡み付いて小さな電流を流すような痛みと共に全身に熱がさざ波のように広がって行く。
自然と震える内腿を擦り寄せながらまた奥に押し込んでは引き抜くだけの単調な動きでも柔らかさと固さを兼ね備えた玩具が粘ついた水音を立てて中をごりごりと擦り上げて、縛られてさえいなければもう何度達したか分からない程に気持ちいい。
「っは、あ…っぁ、…ぁ」
達せないのは分かっているのに気持ちよさに負けて同じ場所ばかりを擦ってしまう。
けれど達せない。
後少しで見えそうな場所を求めてシーツから強張った尻が浮いて揺らめく。
羞恥を感じ無い訳では決してないが、早く解放される為ならばこれくらいの恥ずかしさ等ちっぽけなものだ。
籠る熱が視界を滲ませるが、頬を零れ落ちるのがもう涙なのか汗なのかもよくわからないくらいに熱い。
「克徳さん…ッ克徳さんっっ…」
縋るものも分からなくてただ震える声で名を呼ぶ事しか出来なくなった頃に漸く原澤がベッドへと近づいてくる気配を輪郭の滲んだ視界で認識する。
下肢へと伸びる手にやっと解放してもらえるのかと力を抜いた瞬間。
「っっっっっ―――――!!!!」
内臓ごと揺さぶるような振動に声にならない悲鳴を上げて全身が強張る。
ただゆっくりと擦るだけでもたまらないというのに容赦なく震える玩具は今吉の意思を離れて耐え難い快感だけを叩きつけてきて眼の前が真っ白に染まった。
射精した時のような快感が途切れる事無く今吉を襲い、何も考える事が出来ない。
がくがくと強張り過ぎて震える身体が全部溶けた蝋のように熱い。
嫌や、怖い、気持ちいい、克徳さん、何か口走ったような気もするが、刺激に耐えきれなくなった今吉の意識はやがてブラックアウトした。


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意識を失っていたのはほんの一瞬の事らしい。
頬に触れる少しかさついた感触に瞼を開けると捕食者のような原澤の瞳にぶつかり思わず身を竦ませる。
「本当に、貴方は私を煽るのがお上手ですね」
もう涙なのか汗なのか涎なのか分からない液体で濡れた顔に落ちる唇の感触は優しいのに、いつの間にか解かれていたのか腹の上にぶちまけられた精液を萎えた性器へと塗り込む掌は酷くいやらしく今吉を次に誘う。
強烈な快感を味わった後で頭も身体もすっかり抜け殻のようだと言うのにぞくりと駆け抜ける何かが怖い。
「ちゃんとその気にさせて頂いたので、お相手して差し上げますね?」

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