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空箱

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あんらめぇ

「あん♥あん♥先輩のおっきな♥おちんちんが♥じゃみぅの♥おまんこの♥気持ち良いとこコンコ痛っったぁ!」
「やかましい」
べこんと音がするほどに背後から思い切りよく後頭部を叩かれた。珍しい。すぐに手が出る野蛮人のように見えて実は滅多な事では手を出さない男だというのに。そんなに気に食わなかったのだろうか。ちょっぴりじんじんと余韻が残る後頭部を擦りながら振り返ればとてつもなく渋い顔をしていた。気に食う食わないとかそんな話じゃない。なんかもっと、なんだろう、困った大人みたいな。たまにトレイン先生とかがこんな顔をしている気がする。
「お気に召しませんでした?」
「萎える」
「んん~~……」
ばっさり切り捨て赤点評価。そうか、駄目か。頑張って仔犬が泣くような甲高い声を作ったのになあと少し悲しい物を感じて枕に顔を埋める。背後ではレオナがジャミルの腰をがっしりと掴んで膝を立てさせ直し、繋がった場所を緩やかに揺さぶった。中に埋められたくっきりと形良く出っ張った場所がジャミルの良い所をごりごりと擦り、勝手に身体がぎゅうと収縮して枕を強く抱き締める。
「んぁ、……んッ」
押し出された声とも吐息ともつかない空気が枕に吸い込まれてじんわりと広がる。押し付けた顔が熱い。
「あっ」
「邪魔だろ、退けろ」
確り抱き締めていた筈の枕が横からレオナに引っ張られるとあっさりと抜けてシーツに上半身が落ちる。乱暴な。ぐきりと急に変な角度に曲がった首が痛かった。
「何が駄目です?参考までに聞きたいです」
「そもそも何で突然そんな真似始めたんだ」
「男性はこういうのが好きって聞いたので」
「テメェも男だろうが」
「抱かせてくれますかァンっ……ッッそんな、いきなり……っ!」
両肘を取られたと思うと背後から上半身を釣り上げられた姿勢でずこぬこと中を突かれ、不安定な姿勢に緊張した身体が想定以上に快感を受け取ってしまって辛い。
「あっ、あ、せんぱ、待っ……っひぁ、あ」
止めたくても自由になるのは口ばかり。それも止める間もなくがつがつと突き上げられてしまえばただ意味のない音を発するだけの器官にしかならない。
「……いいから、お前は余計な事考えずに鳴け」
何も考えないでただ身を委ねていたら地味な素の反応になってしまう。あの、画面の中で柔らかな身体をくねらせ男性を盛り上げようといういじらしい努力が見られる甲高い鳴き声よりも、スイッチを押したからつい零れただけの声しか出ないジャミルの方が良いとでも言うのだろうか。何本かその手の動画を見てみたが女性は皆あんあんきゃんきゃん派手に鳴いていたし、男性はそれをオラオラドヤドヤ楽しそうに攻め立てていた。だから、レオナもそういうのが好きだと思ったのに。
もしかしたらレオナは性嗜好が特殊なタイプなのかもしれない。
「っぁあ、っあ、んんっ、ん、」
「唇噛むんじゃねえよ」
「っひぁっあ、あっ」
どう鳴いていいのかわからなくて口を噤もうとすれば即座にぐっと強く肘を引かれて奥深くまで貫かれる。後ろから突き刺さった物が腹から突き出てしまいそうな程に押し込まれて喉が細く金属的な悲鳴を上げていた。左肘が解放されてほっと一息ついたのも束の間、レオナの掌に顎を掴まれ、二本の指がジャミルの口の中に無造作に入れられて唇を閉じる事を阻止してしまう。
「ふぁ、やらあ、へんはあっ、あ、」
唇が閉じられなければ碌な言葉も紡げない。いつしかぴったりと背中がくっつく程にレオナに抱き込まれていた。はふはふと揺すられる度に声が溢れ出るだけのジャミルの耳元で、ふ、と笑う吐息が揺れていた。
「っあふ、あっ、あ、ああっあ」
なるほど、レオナは呂律が回っていない系が好き。そう頭に刻みながら込み上げる快感にジャミルは身を委ねた。

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