忍者ブログ

空箱

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

可愛いは正義

「嫉妬するので二度とこの部屋に他人を入れないでください」
サバナクロー寮、レオナの自室のベッドの上で事後の余韻をかみしめるようにただ裸のまま穏やかに過ごす時間。ジャミルが突然何を言い出すのかと思いきや、珍しく随分と可愛らしい台詞。だがその顔は嫉妬を抱えているというよりも何処か期待にわくわくしているのが見えてしまえば折角の台詞も台無しだ。
「……かまわねえが。そしたら誰が俺の世話焼くんだ?」
「は?それくらい一人で……出来ませんね、そういえば」
「これでも王子様なんでな。カリムよりも生活能力ねえぞ俺は」
「えばるな」
「お前が世話焼いてくれても良いが?」
「カリムだけで間に合ってます」
「じゃあどうする」
「…………現状維持で良いです……」
はあ、と盛大に溜め息を吐いてもたれ掛かる身体を受け止める。夏には暑いが、退けようとは思わなかった。むしろ腕の中に抱え込んでそっと頬をすり寄せる。
「なんだってそんなこと言い出したんだ」
「俺は真面目過ぎるから、少し我が儘を言って振り回してやるくらいの方が可愛げがあると言われたので」
「誰に」
「エースです」
「誰だ?」
「ハーツラビュルの一年の……バスケ部の後輩です」
「後輩に教えを請うたのか」
「仕方ないでしょう、俺はこういうの疎いですし」
ぎゅうとしがみついたジャミルがグリグリと頭を押し付けてアピールするのでわしわしと遠慮なく撫でてやる。相変わらず訳のわからないことで勝手に悩んでいる。外で可愛げが無いのは確かだが、レオナの部屋にいる時はこんなにも無防備に甘えていると言うのに自覚がないのが面白い。
「お前は可愛くなりたいのか?」
「可愛くなりたいというより、レオナ先輩に可愛がられたいです」
その言葉こそが可愛いと言うのに、お前はこれ以上可愛くなってどうするつもりだ、と思わず笑いが漏れる。この素直なジャミルはきっとレオナだけのものだ。他の人間にはきっと、この部屋の外でのジャミルしか知らないから余計な入れ知恵をするのだろう。そう思うだけでレオナの心は満たされる。
「お前はそのままで良い」
「……ずっと可愛がってくれます?」
「お前が望む限りはな」
満足げに笑うジャミルの顔が大変可愛かったので、お望み通りに可愛がるべくレオナは再びジャミルをシーツに押し付けた。

拍手[1回]

PR

comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]