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空箱

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インソムニア

厳つい顔の衛兵に守られた、国王陛下殿の執務室の重い扉を開けて中に入れば、想像通りにやつれた兄の姿を見つけて思わず笑ってしまう。
「レオナ!帰っていたのか!」
「全て滞り無く。……詳しい報告は後でしてやるから、寝ろ」
大人しく机に向かってペンを走らせていたものの、レオナに気付くなり華やかな笑顔を浮かべる兄に近付き頬を撫でようとすれば椅子を引いて逃げられる。代わりに行き先を失った指先がするりと絡め取られて引っ張られたので、逆らう事無く兄の膝の上に跨り座ってやった。そのまま幼子のようにぎゅうとレオナの背中を抱き、胸元に顔を埋めて深呼吸をする兄の頭に顔を埋めてレオナも肺一杯に兄の香りを吸う。恐らくこれは、風呂にも入っていないのだろう。酸化した皮脂の匂いが籠っている。くせぇ、と笑いながらもつい、ふわふわの髪に鼻を埋めて匂いを嗅いでしまう。兄の、匂い。
「……おい」
レオナの胸元に顔を埋めたまま、背中から滑り落ちた大きな掌がレオナの尻を揉んでいた。布の奥の、肉の感触を確かめるような指先はいやらしくも擽ったい。更にはシャツの上からたっぷりの唾液を含んだ唇に、じゅう、と胸の先を吸われて息を呑んでしまい、思わず兄の髪を引っ張る。
「ファレナ。まずは、寝ろ。あとでいくらでも相手してやるから」
「しないと寝れないよ。わかるだろう?」
後ろ髪を引かれるまま顎を上げて首を晒す兄の目の下には酷い隈が出来ていた。今回はいつから寝ていないのやらと思いながら、引き寄せられ尻の下に触れるのは兄の足の間で硬くなった物。
「……舐めて、やるから」
「いやだ、お前を抱きたい」
「そう言ってこの前も途中で寝ただろうが」
「今日は大丈夫だから、本当に。寝て無いのも昨日だけだ」
「眠気と戦いながらのまどろっこしいのじゃなくて抱き潰されるくらい激しいのが良いって言ってんだよ」
「大丈夫、大丈夫だから」
そんな疲労で血走った目で、レオナの言葉の意味の半分も理解出来ないような頭で何が大丈夫だと言うのか。思わず落とした溜息と、髪を引く手が緩んだのを了承と受け取ったのか兄がレオナを抱えたまま立ち上がる。それなりに重さがある筈なのに軽々と抱え上げられてしまうのが悲しい。だが、その足取りは確かに確りしているようだと、一人ほっと息を吐く。
兄が、独りでは巧く寝れないという事を知ったのはそれほど昔の事ではない。
何せ小さい頃から兄とは良く同じベッドで寝ていたし、レオナと共に居る時の兄は起こさなければ一生寝ているのでは無いかというくらいよく眠る男だったのだから気付ける筈も無い。それどころか同じベッドで眠る日々は今現在に至るまで続いており、レオナの前の兄が良く眠るというのも変わりない。時間の許す限り身体を重ねて、抱き締めあって、そうして眠りに落ちて、また起きては貪り合う。
そんな兄が、レオナの前以外では殆ど眠らないのだと教えてくれたのは義理姉だった。
普段はベッドを共にしている義理姉は、以前から兄の眠りが浅い事は知りつつも、全く眠れなくなる程で無かった為に長年心配しながらも誰にも相談することが無かったのだと言う。それが悪化したのは、レオナが長年居座った魔法士養成学校を卒業し、漸く国に帰って来てから。レオナがやっと、兄を心から受け入れられるようになった頃からなのだと、義理姉は言っていた。
兄や、この国に対する蟠りが完全に無くなったとは言えない。
ずっと抱え続け、時にはそれを両手に掲げて暴れ、時には見ない振りをして逃げて来た複雑な感情はそう簡単には消えてくれない。だが、もういいかな、と思えるようになる日がある日突然訪れた。大人になったという事なのかもしれない。ほんの少しの妥協と、諦めと、それから現実を有りのままに受け入れる勇気を得た時、今までずっと避けていた兄と向かい合う事が出来るようになった。
愛されていると知りつつも素直に受け入れられずに突っ撥ねていた物を抱き締め、甘え故に募る不満をと怒りをぶつける事しか出来なかった唇で、今まで自分ですら蓋をしていた奥底の気持ちを言葉にした。産まれてからこれまで、世界から忌み嫌われてきたレオナをただ一人愛し続けて来てくれた兄を、素直に認め、同じ愛を返す事を言葉で、身体で存分に伝えた。
兄の不眠症が悪化したのは、長年にわたり深く刻まれていた二人の溝を埋めようとし、この先は穏やかに過ごせる未来が見えて来た頃だった。
レオナに与えられた地位は国の外交を担うもの。国内……というよりは城の中の、古めかしい考え方に捕らわれた偏屈頑固爺もとい重鎮達の意識を変える事が難しいのならば、先に国外にレオナの顔を売ってしまえばレオナをそう簡単には排除出来ないだろうという兄の言葉に従ったから、そうなった。外交を担うとなれば、当然国を空けて世界中を飛び回る事も多い。最初は古くからの国同士のやり取りを引き継ぎ、パイプを太く盤石な物へと育て、そこから更に新たな絆を手繰り寄せて国に結びつける。目に見えて成果が見える物では無かったが、レオナの手腕次第で国の未来の道しるべが出来て行く。望んだ頂点の地位では無かったが、やりがいはあった。気付けば殆どの時間を外で過ごし、祖国には時折帰るのみとなっていた。そうして兄は、睡眠を削るようになった。
レオナが国を空けて最初の内は多少眠るものの、日が過ぎるごとに次第に眠れなくなり、レオナが帰国する予定日が近づくと殆ど眠らなくなる。少々交渉が長引いて帰国が二日遅れた時は三日寝てないと酷い顔で笑う兄に出迎えられて問答無用でベッドに放り投げた。レオナの力でも無理矢理引き摺っても碌に抵抗出来ないくらいに弱っていた兄は、ベッドに放り込まれた瞬間にレオナを抱き締めて眠りに落ちていた。
長年兄の隣に寄り添って来た義理姉曰く、それは兄の甘えなのだという。
幼少の頃より次期国王となるべく育てられた兄の苦労なぞ知らない。知りたくもない。レオナから見た兄はいつも余裕ある大人ぶった顔で、レオナを守る保護者のように振舞っていた。だからレオナは兄をひたむきに慕い、そして反抗期を迎え、最後にはどうしても捨てきれない血の繋がりを知った。
だがそれはレオナから見た兄の姿であって、本来はもう少し違うようだ。
まだ義理姉との距離を測りかねていた頃、「ファレナの睡眠が浅くてほんの少しの事で起こしてしまう、ゆっくり眠ってもらう為にはどうしたら良いか知らないか」と尋ねられた時に「部屋に来ては何をするでも無く人のベッドを占拠して眠る兄なのだから、どうせ暇さえあればどこでも寝てるのだろう、だから寝すぎて夜に寝れないだけなのでは?」と何も知らずに答えてしまった時の義理姉の顔は未だに忘れられない。驚き、何かを悟り、そうして諦めるまでの、美しい女の悲しい笑顔。その時は意味を分かっていなかったが、きっと、その悲しみの一端をレオナが握っている事だけは、何故かぼんやりと理解していた。
義理姉は、恐らく、レオナと兄の関係を殆ど正確に理解している。理解しているからこそ、何も口出しが出来なくなっている。兄のこんな姿を見たらそれは尚更だろう。
今日も城に帰ってくるなり出迎えた義理姉の瞳は凪いでいた。義理姉が出迎えているという事は、お互いもうどういう事かをわかっている。帰りの挨拶もそこそこに「陛下をよろしくお願いします」とつんと鼻を高く上げた義理姉がレオナに言い、レオナはその義理姉の細く華奢な指先を掬い上げ「仰せのままに」と頭を垂れて手の甲に口付けを送る。幾度も繰り返された儀式は、たったそれだけで済んだ。それだけ済ませたら、兄は十分な睡眠がとれるまでの時間、レオナだけの物になる。
執務室の奥にある、王が休息をとる為の部屋。滅多に使われないが毎日掃除が行き届いた此処には埃一つ無い。
殆ど倒れるようにしてベッドに投げ出され、圧し掛かる重みを受け止める。荒い呼吸が首に触れ、べろりと舌でなぞられては遠慮なしに啄まれる。中途半端に体力が残っているのは質が悪い。レオナの匂いだけで異様な興奮状態に陥る癖に、いつ電池が切れるともわからない。
「ファレナ、痕つけんな」
「つけてない、……っはあ、レオナ……」
しつこいくらいに耳の下から鎖骨までのラインを舐められ、しゃぶられ、匂いを嗅がれているのだと思うとレオナまで釣られてそうになるが、ゆっくりと肩を上下させて深呼吸することでなんとか込み上げそうなものを、逃す。レオナが今すべき事はファレナを寝かせる事だ。体温が上がったファレナの匂いに、寝ていない所為で本能のままにレオナを求める姿に、荒々しくレオナを暴こうとしている熱い指先に興奮している場合ではない。
引きちぎりそうな勢いで服が剥がされ、露わになった肌からファレナが舌と唇で丹念に濡らされて行く。まるで食べられているみたいだった。
「ファレナ」
「レオナ、……ッれおな、」
呼びかけてもレオナを味わう事に夢中な兄は自分の欲を満たす事に夢中だった。すっかり裸に剥かれた足の間に、ファレナの熱く猛った物がぐりぐりと押し付けられて腰がぞわぞわとするのを眉を潜めて抑え込む。
「……ファレナ、キスしたい」
髪を引いて、注意を引く。これすらも聞いてくれなかったらどうしようかと思いながらも、兄が、レオナを見た。
「そうだね、うん、キスしよう、レオナ。私のレオナ」
大きな掌に頬を包まれて唇が塞がれる。余裕も何もなく押し込まれた舌が絡みつき、口内を荒す。普段の丁寧さを何処において来たのだと問いただしたいくらいに拙く、雑な動きに余計な興奮を呼び起こしそうになるのを抑えつけて、ただそっと兄の舌を宥めるようにしゃぶる。
「んん、っふ、……」
「っふは、……れおな……んんん」
「は……んむぅ、……」
ただひたすらにレオナを求めるファレナに、ふつふつと心の奥底が満たされていた。かつてあれほど大きかった兄が、まるで幼子のようにレオナだけに縋り甘えているという事実に喜ぶ気持ちが抑えられなかった。夕焼け色の豊かな髪に指を入れてゆっくりと頭を撫でる。滴り流れ込む兄の唾液を飲み下し、もっととせがむように、だが緩やかに舌を絡ませて強請る。
不意に、レオナの口内を思うがままにまさぐっていた舌先が止まった。それから、ずしりと身体に圧し掛かる重みが増す。
「………やっとか」
溢れた唾液を舐め取り、ちゅ、と口付けを一つ落としてゆっくりと息を吐く。目を閉じれば眠り易くなるだろうと思い仕掛けた事だったが、上手くいって良かった。もう少し時間が掛かってしまえば、レオナまで抑えきれない熱に流されてしまう所だった。レオナとて、兄と離れていて飢えているのは事実なのだから。
早く寝てくれたのは助かったが、服を着たままの兄の下、手足に中途半端に服を絡みつかせたまま殆ど剥かれているのがなんとも虚しい。下手に身じろいで再び起こすような事もしたくなかった。今はただ、兄を眠らせてやりたい。
レオナの顔の横に、髪に顔を埋め突っ伏すようにして兄の穏やかな寝息が聞こえる。吐息一つで集まりかけた熱を逃して兄の背をそっと抱き締めた。少しでも、兄が穏やかに眠れますように。
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久方ぶりにすっきりとした目覚めに瞼を開ける。まだ外からは太陽の光が差し込んでいた。
腕の中には無防備な顔で眠る弟の姿。中途半端に服が脱げて絡みついた格好のまま、窮屈そうに身を縮こまらせつつもファレナにすり寄り寝ているのを見て、さて寝る前に自分は何をやらかしたのだったかと思い返してみるが、レオナが扉を開けて部屋に姿を現した記憶の後はあやふやだった。
そっと抱き締め、つむじに顔を寄せて深呼吸をすれば肺一杯に広がる弟の香り。ほんのりと甘さが混じっているのは香水だろうか。国内にいる時は自然体を好む弟が纏う、知らない香り。己が命じた職務を全うする為の手段の一つだと知っていてもなんだか妬けてしまう。小さな頃から大切な大切な弟だった。ファレナが唯一、全てを曝け出せる相手だった。
王という、国の頂点に立つ地位は、周りからはとても恵まれた豊かな場所だと思われがちであるが、実際にはファレナの手の中に持てる物は殆どない。十分すぎる程の衣食住を与えられ、大勢の人に愛され、慕われ、莫大な富をファレナの意思一つで動かす事は出来るが、その代わりにファレナの個は一切尊重されない。常に清く、正しく、この国の王である姿を求められる。心から愛し合い、何よりも大切な物としてこの腕の中に抱き締めた筈の妻も、二人の愛の証である息子も、所詮は国の為の生贄だ。誰よりも愛している事は確かだが、二人はもう、ファレナの物であってファレナの物ではない。
だが弟だけは違った。存在を忌み嫌われていた弟だが、忌み嫌われていたからこそ、彼は国の物にはならずに済んだ。
歳の離れた、可愛い可愛い弟。いつかは王家の枷を外し、外へと飛び立ってしまうかもしれない自由な生き物。手放したく無くて、愛し方を間違えた事もあった。傷つけた事もあった。争った事もあった。憎しみを向けられた事もあった。それでもファレナの傍から弟が居なくなる事だけは我慢ならずに酷い事を、たくさん、した。
その弟が、散々ファレナの犠牲となり傷付いてきた筈の弟が、自らの意思で王家の首輪を嵌めた。なけなしの理性で逃げ道は残しておいた筈だった。寮というファレナの手の届かない外の世界で数年を過ごしてしまえば、きっと賢い弟はファレナの元を去っていくと覚悟の上で見送った筈だった。弟を手放したく無い気持ちと同じくらい、弟の幸せを願っていた。
それなのにファレナの元へと帰って来た弟は、最後の最後に「今を逃せば二度と逃げられなくなるぞ」と忠告したファレナに、美しい雄へと成長した顔に少しだけ憂いを帯びた笑みを浮かべて「俺もキングスカラーだ」と応えた。
外に出れば遺憾なくその大人びた美貌を発揮する弟ではあるが、寝顔は案外、幼い。
まだ無邪気にファレナを慕っていた幼少期を思い出して思わず口元が緩んでしまう。こんなにまじまじと弟の寝顔を眺めるのも随分久しぶりの事だった。このまま寝顔を堪能していたい気持ちもあるが、いかんせん、寝起きで股間が昂っている。起こさぬようにつむじに鼻を押し付けながら、そっと弟の背を撫でる。滑らかな肌がの下で、確りとした筋肉が呼吸に合わせて静かに動いていた。その、筋肉の合間にある背骨の窪みを辿りゆっくりと指先を滑らせればたどり着く柔らかな肉。中途半端に脱がされたベルトに押し上げられそこは指が埋まる程に柔らかい。その感触が心地よくて、ベルトの下に掌を潜らせて手の中に収まってしまう小さな尻の感触を存分に楽しむ。今は柔らかいこの肉が、奥を突いてやる度に堅く収縮してファレナを絞り上げる快感を思い出してつい、吐息が漏れる。目の前で、擽ったげに耳がぴるぴると震えていた。
「ん……」
弟はぴくりと眉を寄せて喉を鳴らすが、まだ起きてはいないようだった。ならばもう少し、と指先を尻の割れ目へと潜り込ませばしっとりとした感触に包まれる。谷間の奥深くへ指を埋めてたどり着く場所。散々ファレナの熱を咥え込んで形を変えてしまったそこを爪先でそっと撫ぜて感触を確かめると早くも股間がその奥に包まれることを期待して疼いていた。弟の安らかな眠りを妨げたくは無い、だが早くこの熱を埋めて熱い内側を味わいたい。つい急いた指先が、乾いた入り口にめり込む。
「……あに、き……?」
ぽつりと弟の声がして、顔を覗き込めば眠気を纏わせたエメラルドがとろりと瞬いていた。久方ぶりに呼ばれる呼称がなんだかくすぐったい。まだ覚醒しきっていないようなのを良いことに、埋めた指先でゆったりと縁を内側からなぞればぴくりと震えた筋肉に指が挟み込まれた。
「なに、してんだくそあにき……」
「どうせならおにーたんと呼んで欲しいな」
「アホ抜かせ」
はふんと欠伸を溢してから弟がファレナの胸元に懐いて笑う。
「今、何時だ」
「たぶん、三時間くらいしか経っていないよ」
「体調は?」
「お陰様でこの通り」
ぐ、っと鷲掴んだ尻を引き寄せて猛る熱を押し当ててやれば弟が吹き出した。
「ほんと元気だな」
「レオナに飢えてたんだ」
「ちゃんと規則正しく睡眠取って良い子に待ってられたならすぐにでもご褒美やったんだがな」
「お前を堪能する前に寝たのだから誉めて欲しい」
「気絶って言うんだ、それは」
頑なに許可をくれない癖に、弟の舌がファレナの喉仏をべろりと舐め上げ、ちゅ、と音を立てて啄まれる。揺れる尻尾が、尻を掴む腕にくるりと絡みついて、まるで逃さないとでも言うような。
「……レオナ」
これは許されているのだろうかと問いたいのだが、太い血管の上を唇でなぞるように首に顔を埋めた弟の表情は伺えない。その代わりに布の上からそっと触れる掌が、ファレナの物の輪郭を確かめるように爪先を滑らせていた。強請るように押し付ければ首筋に笑う吐息が触れ、そして望通りに布越しにぴったりと掌の中に包み込まれて息を呑む。
「仕方ねえおにーたんだなあ?」
そう言って、ファレナを見上げたレオナの顔が、揶揄するように笑っていた。ファレナの全てを見通すエメラルドがとろりと蕩けてファレナだけを映していた。たまらずに弟へと圧し掛かるように体勢を変えて唇を塞ぐ。
「っん、夕食には間に合うように控えろよ」
ちらと時計を確認すれば、夕飯の時間まであと二時間程と言う所だろうか。そんな時間で足りるわけが無い。
最後までお小言のような可愛くない事を言う唇を啄み舌を潜り込ませながら、ファレナは夕飯をすっぽかす言い訳を考え始めた。

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