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空箱

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おもいでばなし2

2.それから三年後の思い出
本来、レオナは学校と呼ばれる場所に通っている年齢らしい。
でもレオナは特別だから、学校へ通う事は許されない、らしい。
その特別というのが決して良い意味では無い事は、もうわかっている。
全てを砂にしてしまう、レオナのユニーク魔法。
それから、兄の母とは別の、レオナを産み、そしてレオナの記憶に残る前に亡くなってしまった母親。
もしかしたら、父すらも、兄とは異なるかもしれない事。
色々な、本当に色々な事があって、レオナは外へ出る事を禁じられている。
城の人たちに、兄に対する物とはあからさまに違う態度を取られる事は悲しかったけれどもう慣れてしまったし、外の世界は少しだけ憧れてはいるけれど、何が何でも行きたい、と思う程では無いから不満は無かった。今のレオナと同じ年の時に学校に通っていたという兄は「きちんとユニーク魔法をコントロール出来るようになればレオナも学校に通えるようになるさ」と励ましてくれたが、正直、どうでも良かった。
外に出れず、城の人も怯えて近づかないから、と兄が時間の許す限り一緒に居てくれるようになっただけで、レオナにとってはむしろ学校に行けない事は良い事だとすら思っていた。
兄は誰よりもレオナに優しくて、レオナを愛してくれて、レオナの事をわかってくれる。
兄さえレオナの事を愛してくれるのならば、他には何も要らなかった。
椅子に座った兄の膝の上に座り、家庭教師に出された宿題を解く。上にはチュニックを羽織っていたが、下には何も身に纏っていなかった。最初は恥ずかしいとも思ったけれど、今ではこの解放感が楽で良い。何より、兄が喜んでくれる。本当は上だって脱いでしまっても良かったのだが、風邪をひくと行けないから、と兄が許してくれなかった。
兄の右手がチュニックの下に潜り込んで腹から胸を撫で、左手は膝から足の付け根まで内腿をゆっくり往復していた。ずっと昔から変わらない、兄の定位置。擽ったいけれど、これももう慣れてしまった。レオナの肌は触っていて気持ち良いんだ、とふわふわの笑顔で言われてしまったら、止めさせる事なんて出来ない。
「レオナ、それは答えが違う」
「ええ……正解は?」
「それは自分で考えなさい」
レオナの肩に顎を乗せて後ろから覗き込む兄に指摘され、ぞくりと肌が震えた。間違えた答えを消しゴムで消しながら問題文へと目を落とす。
だがそうしている間にも、兄の指先がただ肌を撫でるだけの動きから、胸の薄い皮膚の部分を擽るような動きへと変わる。足の付け根の、普段人に触られるような場所を撫でられる。くすぐったくて、ぞあぞあして、レオナはあまり好きじゃない。
「問題を、良く読んで。何を、どうするのか、ちゃんと考えて」
ヒントはくれるのに、兄の指先が胸の先の小さな突起を爪先でかりかりと引っ掻くから、ぞあぞあが止まらない。逃げたくても兄の太い腕が絡みついているから身動ぎするのがやっとで、すぐに逃げようとした事すら咎めるようにぎゅっと強く胸の先をつねられた。
「っひゃ、」
「ほら、ちゃんと考えなさい。じゃないと、いつまで経っても終わらないよ」
つねられた場所が、じんじんと熱い。じわあ、と身体に熱が滲んで、頭までぼんやりしてしまうから上手く考える事が出来ない。きっと、兄だってレオナに考えさせる気なんて、無い。兄の指がじんじんする先っぽをぴん、と弾くだけで思考なんて簡単に霧散してしまう。
「ふぁ、あ……」
「ほら、早く。……あと十秒」
そう言ってカウントダウンが始まる。ゼロになる前に何か書かなきゃと思うのに、必死に考えようとしているのに、胸の先を摘まんだり捏ねられたりするだけで脳みそがとろとろに蕩けてしまう。
「っぁ、あ……っふ、おにい、ちゃん……ッ」
「ん?」
「おっぱい、やだ……ッぁ」
「嫌でも、仕方ないだろう?間違えたのだから」
「っあ、あ、ぅ……ぅう……ッ」
「ほら、もう時間がないよ。……さん、に、いち……ぜろ」
「っっひゃぅぅ……っっ!」
ゼロ、の瞬間に小さな胸の先を指の間に思い切り擦り潰されて身体が跳ねる。痛くて、熱くて、ぞあぞあが止まらない。身体の中に、もやもやとした何かが渦巻いて息苦しい。
「残念、答えられなかったね」
そう言って笑う兄は楽しそうだった。レオナの汗ばんだ首筋を背後から舐めて、ちゅうと水音を立てて啄まれる。その全てが、身体の中のもやもやを膨らませる。なのに身体はとても重くて、兄の為すがままだった。
逃げようと、思った事すらなかったけれど。
「それじゃあ、罰として下のお口で飴を舐めようね」
「やだあ……」
「嫌じゃないだろう?前に食べた時はあんなに気持ち良さそうだったじゃないか」
「やだ……こわい……」
「大丈夫、慣れたらきっと好きになるから」
「うぅ……」
ほんのささやかな抵抗をしてみるが、弾んだ声の兄が止まる様子はなかった。
レオナが広げた勉強道具の奥に並べられたガラス瓶、一つはいつもの色とりどりの飴玉が入っているが、もう一つの瓶には飴玉よりも一回り小さなピンク色の塊がぎっしりと詰まっていた。その、ピンクが詰まった瓶を取った兄の手が一粒だけ、ピンクの塊を取り出してレオナの唇に押し付ける。思わず顔を顰めながらも大人しく口に入れて一度舌先で転がせば、何も味を感じないそれの表面がぬるりと溶け始めて滑りを帯び、それをそのまま受け取るように待ち構えた兄の掌の上に吐き出す。それから、兄の胸元に背中がぴったりと着く程に深く腰掛けていた身体を前にずらされ、レオナの膝をひっかけたまま兄の足が開かれる。間から落ちる、という程ではない。だがその隙間は兄の腕が忍び込むには十分な隙間だった。
「……力を、抜いて」
無防備に晒された尻の合間に兄の手が入り込み、本来出す為の器官にぬるりとした物が押し当てられる。滑りを擦り付けるように周辺を撫ぜられた後に、ゆっくりと窄まった入口にめり込み、小さなそこを押し広げ、一杯に広がったと思った時にはつるりと奥へと飲み込まれる。
「……ぁ、……」
それと共に潜り込んだ、兄の骨ばった指。太く長い指が、ピンクの飴をゆっくりと奥へと押し込んで行くと一層もやもやが強くなり、腹の底が重くなったような気がする。決して急ぐ事無く、いっぱいに押し開かれた中を確かめるように指先が丹念に内側を撫でる。太い関節が、入口に引っかかり、緩やかに出し入れをされると、込み上げた何かでくふんと鼻から息が漏れる。
「ッん、……っふ、ぅ……」
兄の指が、面白がるように念入りに入口をひっかけては、ぬるり、ぬるりと出し入れをされ、少しずつ兄の指先がレオナの身体に埋め込まれて行く。何度も関節で入口を撫ぜられながら、ついに一番奥まで到達する。その頃には先に押し込まれた塊はすっかりと溶けて形を無くしていた。体温で溶け、ぬるぬるの液体になった物を、兄の指がゆったりと内側に塗り込めて、時折くぷりと水音が立つ。
「っひぅ、……んんぅ……」
身体の中心を掴まれてしまったかのように何かが込み上げて、机の端にしがみついて身体がきゅうと丸まる。少しでもその不思議な感覚から身を守りたくて足を閉じたいのに兄の足が邪魔をして閉じられない。それどころか震える内腿が兄の膝によってぐい、と更に大きく開かれる。
「っや、ぁあ、あ……ッ」
中に埋まった兄の指の存在感が増す。レオナの中が、兄の指を締め付けているのだと気付いて顔に血が上る。しっかりと兄に片腕で抱きかかえられて落ちる事は無いが、広がった隙間の所為で姿勢が不安定になり、きゅうきゅうと指を締め付けているのに兄の指はそれを押し開くようにぐにぐにと中を広げるように蠢いていた。そして、丁寧に塗り付けられたものが、じわじわと効果を発揮し始める気配。
「さて、今日はどれにしようか」
「あ、……」
ずるりと、指が抜けて、ほっとすると同時に不安になる。身体の内側が熱い。それどころか先程まで撫でられていた場所が、じわじわと痒くなってきている。あのピンクの飴玉の効果だ。溶け出した中身が触れた場所が痒くなる不思議な飴玉。レオナが宿題を間違え、兄が指定する時間内に正解を導き出せなかった時に使われるそれは今回が初めてではないが、何度味わっても慣れる事は無かった。それどころか恐怖すら感じでいるというのに、兄は楽しげに机の引き出しを空けて、中から首飾りを並べていた。真珠や、色とりどりの小石、ごろごろと大きな石等が連なるいくつもの首飾りがレオナの前に並ぶ。
あれを、レオナの中に入れるつもりなのだと、もうわかっていた。嫌だ、怖いと思うのに、あれで掻いてもらえるのかと思うとますます痒みが増すようで、無意識に腰が揺れる。痒くてじっとしていられなかった。
「前はこのパールだったから……今日はこっちの石にしてみようか」
そう言って兄が手に取ったのは、ご褒美の飴玉ほどもある大きさの石がごろごろと繋がった首飾りだった。表面はつるりと磨かれているものの、不規則な形をしたそれに思わず、ごくりと唾を飲む。
「や、やだぁ……」
兄の指よりもずっと太いそれにふるふると首を振る。そんなものじゃなくて、兄の指で撫でて欲しかった。
「大丈夫だよ、きっと気持ち良いから。それに……っふふ、こっちは待ちきれないみたいじゃないか」
じくじくと痒さで疼く入り口を、そっと兄の指先が掠めるだけで驚くほどに気持ち良くて頭が真っ白になり、かくんと身体が仰け反る。
「ーーぁ……!」
「ほら、もっと強く擦られたいだろう?」
問われて、思わず頷く。熱くて、痒くて、怖くて、早く楽にして欲しかった。
兄に軽々と持ち上げられると、物を適当に押し退けた机の上に背中を預けて寝転がらせられる。座る兄の目の前に、レオナの尻があった。つい恥ずかしくて閉じようとした膝をそっと両手で押し広げられ、服の裾を捲り上げられてしまっては、もう何も兄に隠せなかった。幼くまだ排泄以外に使った事の無い性器も、自分でも見たことの無い、痒みにひくひくと震えている穴も、早く中を掻いて欲しくて揺れる腰も、全て兄に見られている。
「怖がらなくて平気だから、力を抜いて」
震える内腿に兄が口付け、そして痒い場所にひんやりと固い感触が宛がわれた。
「ぁ、あああ……!」
すっかり慣らされたその場所が驚くほどにすんなりと石を飲み込み、痺れるような感覚が走り抜ける。痒い場所を、ぎちぎちに押し広げた石に撫でられるだけで信じられないくらいに気持ちが良かった。さらに一つ、二つと石を押し込まれるとあまりの気持ち良さに身体がガクガクと震える。
「っやぁあああ!待って、待……ぁあああ!」
必死に止めようとしても、次々に押し込まれる度に頭が真っ白になってしまう。内腿を舐めて啄む兄の頭を掴んでも、気持ち良さに強張る身体はそれ以上何も出来ない。
「大分、中も広がって来たね」
「っゃ、っあぅ、ああ、あ、あ」
「あと少しで全部入っちゃうよ」
「っひぁあ、っあん、あ、っやらぁっ」
ぷつりぷつりと石が押し込まれる度に腹の中が押し広げられてずっしりと重さを増す。苦しいのに、満たされていて、ごりごりと中が抉られるだけでどうしようもなく身体から快感が溢れだす。
「あと三つ、二つ、一つ……全部入ったね」
「っゃ、ぁぁあああ……」
ぐ、と兄の指で最後の一つを押し込まれると腹の中で石がぶつかり合って不規則に内側を抉り、もうわけがわからないくらいに気持ちが良くて身体が跳ねるのを止められない。
「さて、それじゃあ頑張ったレオナにはご褒美を上げないとね」
そう言って、兄がレオナを抱き抱えると、今度は向き合うように膝の上に乗せる。
「っっひぁああああん」
体勢が変わるだけでも中で石が容赦無く擦れて悲鳴を上げることしか出来ない。だが、気持ち良すぎて疲れ果てた身体を休めたくて動きを止めればまた気がおかしくなりそうなくらいの痒みがレオナを襲う。
「っぁ、あう、あ、やらぁ、あ、」
「可愛いね、レオナ。すごく可愛いよ」
もう気持ち良くなりたくないのに、じっとしていると痒くて、兄の足に尻を押し付けて腰を揺らす。もう嫌なのに、石がめちゃくちゃに中で暴れる度に気持ち良くて、終わりが無くて、兄にすがりついて鳴く。  
「っふふ、もうご褒美どころじゃ無さそうだね。好きなだけ気持ち良くなって良いよ」
「っにゃ、ぁああ、あ、っっふぁぁああ!」
尻に敷いた兄の足が上下に揺すぶられるとレオナが腰を振る度に溢れる快感がずしんと身体中に広がり、頭が真っ白になっていた。とん、とん、と足が上下に揺らされるリズムに頭まで突き抜けるような快感が休む間も無く襲いかかり、気持ちが良いのが辛くて涙がぼろぼろと溢れる。
「っあ、ゃらあ、にいちゃ、っぁ、あ」
ご褒美が欲しい。飴を味わう余裕なんて無いけれど、兄からのご褒美が欲しかった。言葉にならない声の代わりに、必死に兄を見上げて舌を差し出す。甘い飴玉も好きだけれど、例え飴玉が無くたってレオナにとってはご褒美だった。兄の匂いに、味に、温もりに包まれて呼吸すらも奪われるようなあの時間が、レオナにとってのご褒美だった。
「……いい子だね、レオナ」
涙でぼやけた視界の中で、兄が優しく笑っていた。足を揺らすのを止めた兄が顔を寄せ、レオナの舌先をちゅうと吸い上げる。
「っふぁあ、あ……ッ」
それだけで心も体も、じんわりと満たされて行く。過ぎる快感で込み上げていた恐怖を、ゆるりと絡みつく兄の舌が舐めて溶かしてくれる。
「っは、ぁん……んむ……」
必死に兄の胸にしがみつき、兄の舌を追いかける。痒みは未だレオナを苛み、必死に腰を振って兄の足に尻を擦り付ければ擦り付ける程に中の石がぐちゃぬちゃと水音を立てながら、絶えず真っ白になりそうな程の快感を連れて来る。
気持ちが良すぎるのは、怖い。
自分でもわけがわからなくなって、怖いのに逃げる事も追い払う事も出来ず、ただ気持ち良い事を追いかけ続けるしかなくなってしまうのは、どうしようもなく怖かった。
けれど、それで兄が喜んでくれるから。
良い子だね、とレオナを褒めて、愛でて、ご褒美をくれて、たくさん触って抱き締めてくれるから。
だから、今日も、レオナは間違える。
兄に喜んで貰う為に、わざと、違う答えを書いて、兄を誘うのだ。

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