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空箱

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がじがじ

週末恒例、一、二年生混合チーム対三年生チームの試合に初めて勝った。
今まで地味なPGに徹していたジャミルがノーマークだったお陰でスリーが入りやすかったのも、フロイドが稀に見る絶好調で先輩すらも圧倒していたのも、誰よりもジャミルの変化に素早く対応して見せたエースもきっと今回限りの事で、次回には今まで以上にジャミルは警戒され、それに伴いエースとのラインも積極的に分断され、フロイドは……その日に寄るが今日ほどの絶好調は早々訪れないだろう。
試合終了と共に部活も終わりになり、勝利に沸き立つ浮足立った雰囲気に包まれながら部室に向かうべく体育館を出ようとするその直前に背中を掬い上げられた、と思った時には足が地から離れ肩に痛みが走る。
「いっ……ってえな!!!」
まるでぬいぐるみのように軽々と抱え上げられてフロイドに噛み付かれていた。反射的に後頭部を思い切り叩いてやるが効いた気配もなくがぶがぶと肩に歯を立てている。
予想はしていた。フロイドは気分が高揚するとジャミルを齧る悪癖がある。だからある程度諦めてはいたが、それにしても痛い。一緒に歩いていた筈の部活の仲間はまたいつものやつかとばかりに笑いながら二人を置いてさっさと体育館から去っていってしまった。
「っおい、少しは加減しろもげる……ッ」
体重がフロイドの腕だけで支えられる不安定さが恐ろしくて胴に足を巻き付けて安定させながら、一度落ち着かせたくて濡れた後ろ髪を掴んで遠慮なしに引っ張れば漸く剥がれるが、露わになった普段は血の気を感じさせない程に白い顔は興奮でピンク色に染まり、瞳が熱に潤み、唇には鮮やかな赤が滲んでいた。そんな顔、初めて見た。
「ウミヘビくん~……」
はぁ、と顔に掛かる吐息がいつになく濡れていた。そのままがぶりと文字通りに唇に齧りつかれる。キスなんて生ぬるい物じゃない、文字通り唇に歯を立て長い舌が色気のかけらもなくジャミルの口内を掻き混ぜる。
「んあ、っちょ、……っと、待て、ってば」
逃れようと身体を捻ろうとすればすぐ傍の壁へと背を押し付けられ、引き剥がそうとした両手は囚われて壁に縫い留められる。その手管は見事なまでに滑らかなのに、隙あらばジャミルの舌までも齧ろうとする唇はただの捕食行為にしか感じられない。手管もセオリーも無い動きにどう逃げて良いかもわからず散々歯が当たるし挟まれる唇が痛い。
そもそも、普段フロイドがジャミルを齧る時はいつも背後からだった。こんな真正面から抱き合うような姿勢になるのは初めてだ。
はあはあと荒い呼吸に包まれて、壁との間に押しつぶすかのように圧し掛かる身体が熱い。それから、強くなる血の香りと、ぐっと尻の下に押し付けられる硬い物。
がぶりと、ジャミルの方からフロイドの唇に噛み付く。少々想定よりも強く噛みすぎてしまった気はするが不可抗力だ仕方ない。
「いっっったあ……!」
流石のフロイドもさすがに顎を引いて逃げる、その口の周りは真っ赤に染まっていた。そこまで血塗れになるほど噛まれただろうかと一瞬焦るが、なんてことはない、その赤はフロイドの鼻から広がっている。
「お前、そんな、鼻血出す程興奮して、……」
ぶは、と思わず吹き出して笑う。笑われたフロイドといえば、べろりとその長い舌で唇の周りの血を舐め取るとそれをそのまま塗り付けるようにジャミルの顎から頬までを舐めては汗を啜る。
「ねぇ~…ちんちん痛い……」
そうして少しは手加減を覚えた歯でジャミルの頬を齧りながら股間を押し付けてはもどかし気に眉根を寄せる、その甘えがジャミルの気を良くした。というよりも、こうして真正面から強請られるのにはどうにも弱い。何もわかっていないような無垢が垣間見えたのなら尚更。
「俺なんかに構ってないで、トイレにでも行って来たらどうだ?」
未だフロイドの口の周りを汚す赤を舐め取りながら、笑う。お互い口の周りを真っ赤な唾液でべたべたにしてムードも何も無い。なんでもかんでも口に入れては涎塗れにする赤子と一緒だ。
「ええ~……ウミヘビくんどうにかしてよぉ」
「何で俺が」
「だって、美味しいじゃん……」
フロイドがジャミルを齧るのは歯応えだけの問題かと思いきや、味も関係があったらしい。初めて知る事実に益々笑ってしまう。普段ならばそんなわけのわからない事を言われたって首を傾げるだけだが、何せ今日は上級生チームに勝ったのだ。ジャミルだって、浮かれている。
「ここにさあ、ちんちん入れたい……」
そう言って両手が解放される代わりに、がっしりと尻を大きな掌で掴まれてその合間に長い指先が埋まり、布越しにぐりぐりと擦る動きは相変わらず色気もクソもない、ただそこに穴があるから埋めたみたいな雑な手付きはしかしジャミルの気を良くするばかりだ。鬱陶しい時は本当に鬱陶しいが、たまにこうやってぴったりとジャミルの欲しい物を寄越してくるからこの男を嫌いになれない。
「入れたいって言われてすぐ入るような場所じゃない」
「じゃあどうしたらいいのさ?」
普段、待ての出来ない駄犬だが、今はジャミルがその気にならなければ解決が出来ない問題を前にして必死に待てをしている。尻の合間を擦る指は痛いくらいで一つも気持ち良くなんか無いが、精神的に、クる。常にこれだけ可愛げがあれば扱い易いのだが、そううまくは行かない所がこの男の魅力でもある。
「とりあえず、此処じゃ嫌だ。落ち着く場所に連れてけ」
そうして自由になった腕をフロイドの首に絡ませて唇を寄せる。すぐに噛み付こうとフロイドが口を開くのを一度避け、それから唇を舐めて、啄む。
「んう??」
「噛むな。大人しくしてろ。悪いようにはしないから」
唇を触れ合わせたままに囁けばくすぐったげに震えた唇が押し付けられ、けれどそれ以上は動こうとしない。素直さにまた笑いそうになるのを吐息だけに留めて唇の合間から舌先を潜り込ませる。


フロイドのおねだりの通りちんちんを入れさせてやるのもいいが、まずはキスくらいは覚えて欲しい。

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