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オメガバカリジャミ

バイパー家に生まれたαはアジーム家当主の右腕となるべく育てられる。
バイパー家に生まれたβはアジーム家に仕える者となるべく育てられる。
バイパー家に生まれたΩはアジーム家の子を産む為に育てられる。

母もかつては現当主の兄にあたる男の為に集められたΩだったのだという。
その男は跡目争いの際に亡くなり、主を失った母を現当主の右腕であった父が引き取り、番となってジャミルが生まれた。
父にとっては初めての子だったが、母にとっては三人目の子。
顔も名も知らぬ異父兄弟達は、父親が亡くなったのを機に国外追放になったと聞いた。

幼少の頃から父に似て優秀であったジャミルはαであろうと誰もが思っていたし、ジャミル自身も自分がαである事を信じて疑っていなかった。次期当主の右腕となるべく教育され、いずれは家を継いだカリムの隣に立つのが当たり前の未来だと思っていた。
それが覆されたのは十二の時のに受けたオメガ性検査結果。
誰もがαだと思っていたジャミルの性別はΩ。
父は落胆し、母はジャミルが哀れだと泣き、カリムはずっと一緒に居られるのは変わらないと笑っていた。

その日からカリムを守る為、育てる為、支える為の術を会得する為の時間は全て、カリムを発情させ、悦ばせ、強い子を産む為の術を得る時間に変わった。
万が一にも間違えて番を作らないようにと犬のように首輪をつけられ、いつか来るヒートを見逃さないようにと毎朝メディカルチェックを受け、生殖機能のチェックも入念に行われた。
辛い、とは思わなかった。
漠然とした未知への恐怖はあったが、その時はまだαであることとΩであることの違いが良くわかっていなかった。
ひとまずヒートが来るまでは今まで通りにカリムの側に居ることを許されたと言うのもある。以前となんら変わり無く笑うカリムの側で今まで通りに世話を焼いていると、性別の差なんて大したこと無いのだと思わされていた。いつかこの子の子供を孕み産むのだと言われても、ままごとのような想像しか出来なかった。

初めてのヒートは十三の時に来た。朝目が覚めた時にはただ少しだるいだけで何とも思わなかったのに、医者に強制的に何処かの部屋に隔離されて昼になる頃には異常な程に発熱し、下腹部がじくじくと腐敗していくような痛い程の疼きを抱えて唸っていた。身じろぐだけでシーツに服に擦れる肌がぴりぴりとした快感を生み出し、疼きはどんどん強くなる一方で自分で自身を慰めるようになるまでさほど時間はかからなかった。好きに使いなさい、と与えられた男性器を模した玩具の中から使いなれた物を選んで疼く場所に押し込むと、訓練の時よりも余りにもすんなりと飲み込み走り抜ける快感に震える。どろどろに蕩けた場所が玩具に喜び絡みついているのが自分でもわかる。ちょっと揺するだけでも制御の効かない快感に支配されて何度も悲鳴を上げながら夢中になって玩具を動かした。
知識としては知っていた。実際に体感してもこの時はまだ、こんなものかと思った。毒の耐性を付ける訓練で似たような状況は何度か経験があったし、ヒートが終われば元に戻るという安心があったからかもしれない。
終わらない快感を延々と追い続けては体力が尽きて気絶するように眠り、合間に恐らくΩなのであろう大人たちに世話を焼かれる。水を飲まされたり、食べたくもない食事を口に詰め込まれたり、排泄までも面倒を見られた気がするが、ヒートの間のΩには必要な処置だと教わっていた為にあまり気にならなかった。それよりも体の疼きをどうにかしたくて恥じらいも無く彼らの前でも自慰に耽っていた気がする。もはや身体も思考もぐちゃぐちゃで理性も何もあったものではない。
このままおよそ一週間、独りこの部屋に閉じこもり、本能に身を任せてやり過ごしていれば終わると思っていたジャミルの前に、突然カリムがやってきたのは何日目の事なのかはわからない。
理性も無く乱れていたジャミルを無機質に世話した有象無象とは違う、強烈なαの匂いを纏った雄。
勉強が嫌いで、好奇心旺盛で、散々ジャミルは振り回されているのに憎めない、笑顔の絶えないカリムを弟のように思っていた。
カリムが初めて夢精した時だって無邪気に報告されて、そのあまりの邪気の無さに呆れてしまったくらいだというのに。
まだ幼い輪郭をしているのにその目だけが見慣れぬ情欲に濡れて光っていた。声変わりも終わっていない声がジャミルを呼び、捕食せんと伸ばされた手に震える。
それは決して恐怖等では無い、早く身体に「本物」を埋めて子種を残して欲しいという飢えからだった。
性欲とは無縁のような顔をして笑っていたカリムの笑顔が脳裏にちらついているのに、身体は関係なく涎を垂らしてカリムのペニスを求めていた。一刻も早くあれを身体の奥底まで埋めてぐちゃぐちゃになるまで掻き混ぜて欲しい、疼く柔らかな内側を食い荒らして種を植え付けて欲しいという欲だけで頭がいっぱいになる。
大雑把だが優しく面倒見の良いカリムが、力づくでジャミルを押さえ付けまるで獣のように犯す度にあられもない声を上げて歓喜し、数えられないくらいに達してなお求めていた。
この時初めて、Ωという生き物がどういう物なのか、ジャミルは身を持って理解し、そして絶望した。


それ以降はヒートになる度にカリムと二人部屋に閉じ込められ、獣のように交わる日々が続いた。
それが役割だと言われれば、諦める事は簡単だった。だが、ヒートが終わる度にボロボロになっているジャミルを見てカリムが自責の念で項垂れるのだけは哀れで見て居られなかった。
ヒートの間、カリムにされる事はなんでも気持ち良いとしか感じられないから気にしなくて良いと言っても、音すら出せない程に喉が枯れ、まともに歩けない程に足腰が言う事を聞かず、首輪の周りが真っ青になるくらいに何度も噛まれ血を滲ませているのを見ては「ごめんな」と大粒の涙を流して謝るカリムを、ただ抱き締めてやる事しか出来ない。
ヒートを終えてもジャミルが普段の生活に戻るには数日を要し、そうしてカリムの世話が出来るようになってもお互いヒートの時の事が頭から離れずにぎこちない空気が流れる。それも少しすれば慣れて、漸く元通りに笑い合える関係に戻れた頃にはまたヒートが来てしまう。
ジャミルは、仕方ない事なのだと割り切っていた。これが、バイパー家に生まれたΩの役割だと。
だがカリムはまだジャミルをΩとして扱う事に戸惑っているようだった。

何度目かのヒートの後、ジャミルは妊娠した。
それまでヒートの間はカリムとずっと一緒に過ごし、それ以外の半月程も今まで通りカリムの世話を焼く事を許されていたが、妊娠を機に殆どカリムと会えなくなってしまった。
ジャミルはアジームの血を孕んだΩとして丁重に扱われる代わりにカリムの世話も何もかも取り上げられて、ただ安静に大人しく過ごし無事にアジームの子を産む事だけに専念させられた。
代わりにカリムには別のバイパーが宛がわれ、ジャミルの代わりに世話を焼いていた。
一日に数度、隙間を見つけてはジャミルの部屋にカリムが訪れる時間が唯一、二人が共に居られる時間だった。今までほとんどの時間を共に過ごしていたことを考えると余りにも少ない時間。だがヒートが起きなくなった分、かつての頃のように穏やかな気持ちで会う事が出来たのは「幸せな時間」だったと言っても良いかもしれない。カリムが訪れる以外は他に何もすることが無くて暇を持て余していたというのもある。カリムも恐らくそれを察して、少しの時間でもジャミルの元を訪ねては今日の出来事、失敗談、楽しかった事等を話してくれた。少しでも楽しませようとしてくれる気遣いが、ジャミルには嬉しかった。
大きくなっていく腹を二人で撫で、一緒に名前を考えた。
恐らく、この子を二人で育てる事は周りが許さないだろう。それはカリムと彼の生母の関係を見て居ればわかる。
戸籍上のαの母親とは違い、実際に孕み産んでくれたΩの母親とはあまり会わせてもらえないのだと、関わる事をあまり良く思われていないのだと寂し気に笑っていたカリムを思い出す。親子三人で過ごせるのはきっと今だけだ。

そしてジャミルは子供を産んだ。カリムに良く似た女の子。
新しい子の誕生を喜ぶ声と共に、男子で無かった事を嘆く声も多かった。
カリムはいずれ王家の血を引くαの娘と結婚する事が決まっている。
α同士の結婚で子供が生まれるのは稀だ。その為に、ジャミルが居る。
カリムがジャミル以外のΩを抱く気にさえなってくれれば、ジャミルは「選ばれなかったΩ」の烙印を押されつつも今まで通りにカリムの傍にいられたかもしれない。
だがカリムは集められたΩに一切手を付けずに追い返したらしい。
それを喜べばいいのか、悲しめばいいのかはよくわからなかったが、ジャミルがせめて男子を一人産むまでは、きっとこの生活は変わらないのだろうと思うと少しばかり悲しい気がした。





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たぶん書かないので続きのメモ書きだけ置いときます




・カリジャミ+ジャミの代わりのカリム付きになったバイパー家の者(α)の三人でNRC入学
・主であるカリム、その従者のもう一人のバイパー、カリムの性欲処理係のジャミという役割でアジーム家はNRCに入学を許したけれど、なるべく友人として過ごしたいというカリムの小さな我儘を叶えて上げる&バイパー家の二人にも外の世界を満喫して欲しいと言われたのでジャミはお小遣いでサムのお店でヒート抑制剤を買うように
・副作用に苦しみつつもヒートが無い生活は平和で幸せ。けど素面でカリムと抱き合うのは初めてだしくっそ恥ずかしい。けどカリムが強請るからベッドに引き摺り込まれちゃう。お互いめっちゃ照れながらする。むしろジャミが恥ずかし過ぎて泣く。カリムにっこにこ
・二年生になって、下級生が出来た…と思ったらジャックがジャミの運命だった為に突然発情期入り、ジャックも引きずられて発情、とりあえずジャミ攫って寮の自室に籠ってにゃんにゃんしようとするのを(獲物は安全な場所で食べる派)なんとかレオナ先輩が阻止。アジーム家に手出したらどう考えてもヤバいだろ止めてくれ
・レオナのオメガバースは両性具有。どちらの器官も持っているけれど生殖能力は殆ど無いって言われてる。色々中途半端。
・ひとまず自分の部屋にジャミを避難させてお迎え待ち…してる間に、辛そうだったから発散に付き合ってあげるレオナ先輩。生殖能力無いって言われてるしって運命に会って完全に発情してるΩのフェロモンにα部分が引き摺られてしまってつい生ハメしてしまう
・無事ジャミル一発妊娠、カリムともしてたけれど発情期以外は殆ど妊娠しない筈(という世界)だから発情期にはしてなかったつまりレオナの子だろうって事はすぐにわかり……これからどうしよう


までは妄想してました

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