忍者ブログ

空箱

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

おしえてれおなせんぱい

「先輩、一人でする時どうやってるのか、見せてもらえませんか?」
また妙な事を言いだしたこの真面目のように見えて腹黒と思いきや変な所で常識知らずの箱入り従者。レオナの部屋でベッドにジャミルを押し倒し、いざ、という時にこの台詞だ。お前は散々成金親父に股開いてきたんじゃないのか。ベッドマナーは教わっていないのか。むしろそのマナーを知らない初心さが売りだったのか。その数多の変態親父どもを虜にしてきた傾国だと言わんばかりの顔で?嘘だろ。
思う所は多々あれど、表には眉を寄せるだけに留めた。これでも王族、素直なだけでは生きていけない。
「……何故」
「見たことが無いので」
なんとか絞り出した問いはさらりと当たり前の言葉が帰って来た。他人が一人で処理しているところを見たことがある人は滅多にいないだろう。レオナだって他人の現場を見たことは無いし、自分でしているところを見られたことも無いはずだ。多分。
ジャミルが求めているものはわからないが、何が悲しくてわざわざ相手が居るのに右手の世話にならなけらばならないのか。それが楽しみに繋がるならともかく。
と、そこまで脳内で嘆いてから思い付く。
「お前が先に見せてくれるなら考える」
「あ、いえ、あの、俺、やったことないので良くわからなくて」
なるほど。経験が無いからわからないと。だからどうするのか見てみたいと。ようやく話は理解した。だがこの歳で自分で慰めたことが無いという事実はレオナにそれなりの衝撃を与えていた。恥じらいが見えるならともかく、そんな新しい玩具を前にした子供のような期待の顔でねだるものじゃない。今、お前は、これからお前を抱こうとやる気に満ちた男に押し倒されてる所なんだぞと伝えたい所だがうまくジャミルに理解してもらえる自信はなかった。
「何度か自分でやってみようとしたんですけど……気持ち良くなれそうでも途中で飽きちゃって」
「……飽きるくらいなら、必要ねぇってことだろ」
「でも先輩もしたことあるんでしょう?」
「……あるが」
謎の敗北感に思わず口がへの字に歪むのを自覚しながら肯定する。別にジャミルは一人でする暇も無いくらいにモテていたと自慢したいわけでは無いだろう。むしろ乾く暇も無かったのは男性器よりも本来は出口としてしか使わない場所の筈だ。それよりも皆が当たり前のようにしていたことを自分だけが未経験だったという劣等感から教えを請うているだけであって、きっと他意は無い。わかっていてもなんだか負けた気がしてしまうのが悔しい。
「……やり方が知りたいなら、教えてやるよ」
要は、男性器で快感を得て最後までいければ良いのだろう。普段の流れに一手間増えるだけだ。ようやく本来の目的への道筋が見えたようで、唇を重ねながらジャミルの股間へと手を伸ばす、が。
「先輩がやったら気持ち良いのは当たり前でしょう!自分の手でイけるようになりたいんです!」
触れたそばから思いがけない力で身体を押し退けられた。この行き場を失った唇をどうしてくれる。嬉しいことも言われた気がするが、そう思うなら余計なことは考えずに大人しく気持ち良くなっていて欲しい。ご期待通りとろっとろになるまで気持ち良くさせてやるから。
「お手本、見せてもらえたら出来ると思うんですよ」
俺、優秀なので。と言葉にしなくても顔に書いてある。やる気に溢れたジャミルの期待の眼差しが痛い。
珍しいジャミルからのおねだりを叶えてやりたいという感情はある。だがレオナにも一応、羞恥心がある。プレイの一環としてなら吝かでは無いが、こんな夏の自由研究のようなテンションのジャミルの前で平然とソロ活動が出来るかと言われたら答えかねる。
「レオナ先輩、だめですか?」
ここぞとばかりに可愛い後輩の顔で首を傾けるジャミルのあざとさに思わず唸る。そのおねだりが出来て何で自慰も知らないんだ。責任者出てこい。
「…………とりあえず、後でな」
そう言えば嬉しそうに笑うジャミルを直視出来ないまま有耶無耶に唇を重ねる。今日はこのまま自慰の手解きを受けようとする気が無くなるまで存分に気持ち良くなって頂くしかない。そしてそのまま忘れてくれやしないかと願いながら、レオナはやっとジャミルの肌に触れることを許された。

拍手[0回]

PR

墓に骨を埋める

孕む機能もなければ異物を受け入れる作りでも無い臓腑をわざわざ時間と手間を掛けてまで丁寧に慣らしてこじ開け、擦るだけで出るという単純な仕組みで無暗に死地に生命の種子を撒き散らしては殺すこの行為に何の意味があるのだろうか。生物の本能的な営みから外れた歪な行為。自らの手で擦れば五分で終わるのに、まだ死んでもいない子種を埋める墓を選び、丁寧に墓穴を掘り、汗水垂らして腰を振って無駄に吐き出された生命の可能性に蓋をする。
頭の中まで幸せな塵芥を詰め込んだ連中はそれを愛と呼んでいた。愛していればこそ、例えそこに命が産まれなくとも命を注ぎたくなるのだと、それが愛を示す行為なのだと言っていた。
だがレオナには、ただ刹那の快楽を貪るための言い訳にしか思えない。
「……せんぱい」
甘い吐息に呼ばれて瞬く。レオナに跨がり、腹の奥底までじくじくと熱に疼く場所を飲み込んだジャミルがうっすらと笑っていた。呼び出せば気安くレオナに跨がり、勝手に快感を与えてくれる近頃お気に入りの墓。
腹に数えきれない程の死を埋められたジャミルは、愛が無くても快楽を求めて良いのだとレオナに教えてくれた。
「気持ち良いですか?」
濡れた腕が首に絡み付き、ぴたりと胸と胸が重なる。平常時よりも高い体温が肌の境界線までも溶かし、墓の中にレオナごと飲み込んでしまうようだった。
「……ああ」
繋がった場所から引き摺り込まれるような本能的な恐怖はあった。だが暖かな内蔵に包まれ咀嚼される場所は確かに気持ちが良いので、嘘を言ったつもりは無い。
「なら、良かった」
墓穴のようにぱっくりと暗闇の口を開けた瞳が細められ、優しくレオナを穴の底へと手招いていた。一度そこへ飲み込まれてしまえば二度と帰れなくなると本能的に理解しているのに、抗うどころか引き寄せられるようにしてレオナの腕はジャミルの背を掻き抱き唇を重ねる。
墓を内側から暴きたいという欲求が生まれた自分の心に戸惑いつつも、この墓にレオナの名を刻んでやりたいと、何故か強く思った。

拍手[0回]

レオナでいい

熱い泥濘を突き上げれば甘い声で鳴き、れおなせんぱい、とすがる声で差し伸ばされたジャミルの細く骨張った指先。そっとその手に頬を擦り寄せてやればとろりと濡れた黒曜石が満足げに細められた。
「レオナで良い」
「?」
「レオナって呼べ」
「……れおな」
「うん」
「れおな……ぁ」
ねだるままに呼ぶ声に突き動かされて奥を捏ね、首にしがみつくジャミルを欲のままに揺さぶる。知らず腹の底に満ちたなんともむず痒くも幸せな感情に任せて絡まり合い、一つになる行為のなんと豊かな事だろうか。
精も魂も尽き果てる程に貪り、絡まり合ったままシーツに突っ伏すと、れおな、と少し掠れた声に呼ばれた。
「ん?」
「……ふふ、れおな」
「……なんだよ」
大切そうにレオナの名を舌で転がしては幸せそうに笑うジャミルについ、レオナの頬も緩む。あまりにも嬉しそうにレオナを呼ぶものだから、年甲斐も無くただ名を呼び合っては笑い合うなんて事を眠くなるまで続けてしまった。
というのが昨日の話。正確にはまだあれから十時間も経っていない。
それなのに午後の授業が始まる前、たまたま廊下ですれ違ったジャミルが発した第一声は「あ、レオナ先輩」だ。
「……呼び方が違うんじゃねえか?」
「は?……え、そんな、学校で呼ぶわけないでしょう」
「せんぱい、を抜くだけだろうが」
「此処では俺の方が後輩なんですから仕方無いじゃないですか」
「……此処では?」
わかりやすく、しまった、という顔をしたジャミルの手首を掴み、教室へと向かう人の波に逆らって人気の無い方へと引きずっていく。ジャミルはなにやら喚いていたようだが力はレオナの方が上だ。無理矢理にでも引きずり止まるつもりが無い事を察した後は大人しくレオナについてきた。
そうしてたどり着いた校舎端の空き教室。レオナの昼寝場所の一つでもあるそこにジャミルを連れ込み腕の中に抱え込む。大人しく腕に収まってはいるものの、ジャミルはレオナを見なかった。
「……此処なら対等になれるか?」
「学校の中なので駄目です」
「じゃあ何処なら良いんだよ」
「それは……」
はく、と唇が音を紡げずに息を飲む。俯くジャミルの顔はわからないが、耳朶がほんのりと赤い。それさえ見られれば十分だった。唇が性質の悪い笑みに歪んでいる自覚がある。
「じゃあまた今夜、お前が俺を名前だけで呼べる場所に来いよ」

拍手[0回]

この後、正式にお付き合いが始まった

本日錬金術の授業で作る薬は半径1m以内に居るの心が読めるようになる薬。効果は五分から十分。必ず心を読まれても構わないと思える相手とペアを組み、二人で作った薬を実際に使用してその使用感や改良点等を見付けてレポートを提出すること。
レオナとジャミルは所謂セフレだ。相性が良い、ただそれだけの理由で繋がっているだけのドライな関係だ。それだけの理由しか無いと見えるように振る舞って来た。
だから絶対にペアになりたくないとジャミルが逃げ出す前に素早くレオナに捕まってしまい、助けを求めようにも誰も視線すら合わせてくれなかった。
思わず顔をしかめるジャミルの隣で、珍しく意欲的に授業に参加したレオナが楽しげに笑っていた。
薬の作成はいとも簡単に終わった。
だが問題はこの後だ。本日最後の授業だった為にそのままずるずるとサバナクローの寮長部屋に連れ込まれ、ベッドに寝そべるレオナの上に向かい合って抱えられる。
いっぺんテメェの腹ん中を見てやりたかったんだよと笑うレオナが恨めしい。大変不本意ではあるが、やらずに評価を下げるような真似も出来ない。覚悟を決めて二人で同時に薬を飲む。
「…………」
同時に飲み干したのを確認しながら何か変化はあるかと観察するようにレオナを見る。ジャミルの心も知らずにいつになく楽しげなレオナが恨めしい。恨めしいが腹立つくらいに今日も顔が良い。
ぶふぉ、と目の前でレオナが吹き出したのを見て、そういえば今ジャミルはレオナに心まで読まれてしまうのだと思い出した。変わりにジャミルもレオナの心が読める筈なのだが、レオナがくつくつと笑う声以外は何も聞こえない。失敗したのだろうか?あんな簡単な薬を?と眉を潜めるとぽんぽんと大きな掌に気安く頭を撫でられる。こっちはとっとと終わらせてしまいたいのだからそういう心が気持ち良くなってしまう事はしないで欲しい。
「ふはっ……お前、」
ニヤニヤ笑うレオナに思考が全てバレていることを知り顔に血が集まってくる。違うんだ、いや違わないけどふざけんな。
「失敗はしてねえよ。今は薬の効果を抑制する魔法を使ってるからお前には読めないだけだ」
はあ?なんだそれ。顔が良ければ何しても許されると思ってるのか二人でレポートを書くのだからそれじゃあ意味が無いだろうにおい待てそれ以上笑うなそんなアンタの全開の笑顔なんて初めて見るから心臓に悪いだろああこれも聞こえてるのか本当に嫌だ帰りたい。
せめてもとフードを深く被って顔を隠すと同時に腕を引かれてぐるりと身体が入れ替わり、レオナの体重に押し潰される。
「お望み通り抑制を解いてやるがな。……ちゃんと受け止めろよ?」
まるで聞けば逃げようとするのがわかっているとでも言うような、抱き合うと言うよりは押さえ込まれている状態でようやく聞こえるようになったレオナの心の声。
「…………で、俺の心の声の感想は?」
「恥ずかし過ぎて死ぬ……!」
「俺がどれだけお前を可愛いと思って大事にしてるか思い知っただろ」
「俺がどれだけ貴方に弱いかわかってるでしょうに殺す気ですか!」

拍手[0回]

可愛いは正義

「嫉妬するので二度とこの部屋に他人を入れないでください」
サバナクロー寮、レオナの自室のベッドの上で事後の余韻をかみしめるようにただ裸のまま穏やかに過ごす時間。ジャミルが突然何を言い出すのかと思いきや、珍しく随分と可愛らしい台詞。だがその顔は嫉妬を抱えているというよりも何処か期待にわくわくしているのが見えてしまえば折角の台詞も台無しだ。
「……かまわねえが。そしたら誰が俺の世話焼くんだ?」
「は?それくらい一人で……出来ませんね、そういえば」
「これでも王子様なんでな。カリムよりも生活能力ねえぞ俺は」
「えばるな」
「お前が世話焼いてくれても良いが?」
「カリムだけで間に合ってます」
「じゃあどうする」
「…………現状維持で良いです……」
はあ、と盛大に溜め息を吐いてもたれ掛かる身体を受け止める。夏には暑いが、退けようとは思わなかった。むしろ腕の中に抱え込んでそっと頬をすり寄せる。
「なんだってそんなこと言い出したんだ」
「俺は真面目過ぎるから、少し我が儘を言って振り回してやるくらいの方が可愛げがあると言われたので」
「誰に」
「エースです」
「誰だ?」
「ハーツラビュルの一年の……バスケ部の後輩です」
「後輩に教えを請うたのか」
「仕方ないでしょう、俺はこういうの疎いですし」
ぎゅうとしがみついたジャミルがグリグリと頭を押し付けてアピールするのでわしわしと遠慮なく撫でてやる。相変わらず訳のわからないことで勝手に悩んでいる。外で可愛げが無いのは確かだが、レオナの部屋にいる時はこんなにも無防備に甘えていると言うのに自覚がないのが面白い。
「お前は可愛くなりたいのか?」
「可愛くなりたいというより、レオナ先輩に可愛がられたいです」
その言葉こそが可愛いと言うのに、お前はこれ以上可愛くなってどうするつもりだ、と思わず笑いが漏れる。この素直なジャミルはきっとレオナだけのものだ。他の人間にはきっと、この部屋の外でのジャミルしか知らないから余計な入れ知恵をするのだろう。そう思うだけでレオナの心は満たされる。
「お前はそのままで良い」
「……ずっと可愛がってくれます?」
「お前が望む限りはな」
満足げに笑うジャミルの顔が大変可愛かったので、お望み通りに可愛がるべくレオナは再びジャミルをシーツに押し付けた。

拍手[1回]

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]